開幕1軍入り目指す埼玉西武・伊藤翔 見失っていた姿を思い出させた一言「去年を思い出せ」

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2019.3.7(木) 09:49

埼玉西武・伊藤翔※写真提供:Full-Count(写真:安藤かなみ)
埼玉西武・伊藤翔※写真提供:Full-Count(写真:安藤かなみ)

2日の広島戦で3失点も、6日の福岡ソフトバンク戦で無失点

「結果を気にせず、打たれても打たれなくても、自分の投球をしよう」。ブルペンから飛び出し、敵地ヤフオクドームのマウンドに向かった埼玉西武の伊藤翔投手は、胸にそう決めていた。

 3月2日に行われた広島とのオープン戦(佐賀)では、1回を投げて4安打の集中打を食らい3失点。特に2死から与えた四球が失点のきっかけとなった。小野和義投手コーチはその日の伊藤の投球について「彼の投げっぷりのよさを買っていたんだけど。本当に全力を出したのか? それを感じなかった。技術よりも、若さというところが出てしまったかな」と、苦笑いを浮かべていた。

 伊藤の頭に不安がちらついた。「ラストチャンスだと思った。今日ダメだったら…」。6日の福岡ソフトバンク戦。3番手で登板すると、いきなり先頭打者に二塁打を浴びたが、「逆に目が覚めた」。後続を断ち切り、最後の打者を宝刀スライダーで空振り三振に仕留め無失点でマウンドを降りた。

「自分では腕を振っているつもりだったんです」。2日の広島戦の投球について、伊藤はこう振り返る。その試合の後にも、小野投手コーチにこう声をかけられた、

「去年を思い出せ」

「小さくなりたくないのに、小さくなってしまった」

 四国IL・徳島インディゴソックスからドラフト3位で加入した昨年、伊藤はどんなときもギラギラした目を失わなかった。指名漏れを経験した高校卒業後、「絶対にプロに行くんだ」という強い気持ちで這い上がってきた。がむしゃらに、そして懸命に投げ続けた伊藤の姿を投手コーチは評価していたようだ。

「うまくまとめようとしてしまっていた。だから自分では腕を振っているつもりでも勝負できていなかった。小さくなりたくないのに、小さくなってしまった。小野コーチから『投げっぷりがない。去年を思い出せ』と言われてから目が覚めた。不器用なくせに、考えすぎていたんです」
 
 アピールのためのまとまったピッチングを意識しすぎるあまり、自分の良さを見失っていたことに気づいた。日々のキャッチボールから意識を変えた。短い時間で修正をはかり、まずはこの日結果を出した。

 ルーキーイヤーだった昨年は新人選手の中で唯一の開幕一軍入りを果たし、16試合に登板するといきなり3勝をあげた。だが、まだ20歳になったばかり。真価の問われる2年目は始まったばかりだ。

「このまま開幕まで一軍でやりたい」。本来の自分を取り戻した伊藤がアピールを続けていく。

(安藤かなみ / Kanami Ando)

記事提供:Full-Count

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