プロ野球選手の社会貢献活動「ゴールデンスピリット賞」

パ・リーグ インサイト

2017.12.14(木) 00:00

(C)パ・リーグインサイト
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今オフ、阪神の岩田投手が「ゴールデンスピリット賞」を受賞し、12月7日に行われた表彰式に出席した。ゴールデンスピリット賞とは、積極的、長期的に社会貢献活動を行っているプロ野球関係者に贈られる賞だ。

プロ野球選手の社会貢献活動に贈られる賞といえば、MLBにおけるロベルト・クレメンテ賞が有名だろう。この賞の由来となったクレメンテ氏はメジャーリーグで首位打者を4度、ゴールドグラブ賞を12度獲得したスターだったが、1972年、奉仕活動中の航空事故で亡くなった。現在に至るまで毎シーズン、彼のように慈善活動に励んだ選手に贈られる同賞は、MVPに匹敵するほど名誉ある賞とも言われている。

ゴールデンスピリット賞の表彰は、今年で19回目。パ・リーグに絞ると、2015年に楽天の今江敏晃選手(当時千葉ロッテ)が受賞した。今江選手が積極的な活動を始めたのは2006年。偶然テレビで見た身体障がい者の野球チーム「群馬アトム」との出会いがきっかけだった。自らチームに手紙を送り、交流が始まった。楽天に移籍した今もなお活動は続いている。他にも「今江スマイルプロジェクト」をはじめとして、数多くの社会貢献活動を行っている。今江選手の公式ホームページには活動の様子が記載されているので、ぜひ見てみてほしい。

2014年には栗山巧選手(埼玉西武)、2011年には山崎武司氏(当時楽天)、2010年にはダルビッシュ有投手(当時北海道日本ハム)などがゴールデンスピリット賞を受賞した。栗山選手は2006年から知的障がい児や小児がん患者を球場に招待し、東日本大震災の復興支援にも尽力。選手会長時代の2012年には「こどもたちが安心して夢を持って生活できる環境作りをサポート」する「ライオンズこども基金」を設立し、現在もその活動は継続されている。

また、自身の成績に応じて、全国の団体や施設への寄付金額を決める選手も多い。2004年に受賞した赤星憲広氏(当時阪神)は、自身の盗塁数に応じて、全国の施設・病院に車いすを贈呈。現役を引退した現在は「Ring of Red」という基金を設立し、活動を続けている。今年同賞を受賞した岩田投手は、高校時代に1型糖尿病を発症。2009年から毎年同じ病の患者と家族を球場に招待し、1勝につき10万円を研究基金に寄付している。

このように、積極的に社会貢献活動を行っている選手は多い。12月7日にも東日本大震災の被災地である福島県いわき市に訪問した今江選手は、自身のホームページで、「プロ野球選手が世の中に与える影響は大きい。だからこそ、僕はその恩返しをしたい」と語る。ただでさえ過酷な勝負の世界に生きる野球選手は、想像を絶するようなプレッシャーに晒され、心身を消耗させながら日々戦っているのだろう。だからこそそんな日々の中で、他人の心や苦しみに寄り添って、その負担を少しでも軽くするために活動するということは、並大抵の覚悟ではままならないことだ。グラウンドで美しいプレーを披露すると同時に、その外でも「自分に何ができるか」を模索する1人の人間としての姿に、心からの敬意を表する。

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