増井投手がオリックスに移籍。新・守護神あるいはダブルストッパー

パ・リーグ インサイト

2017.12.4(月) 00:00

11月30日、オリックスは国内FA権を行使した増井浩俊投手の獲得を発表した。背番号は「17」に決定。今季まで「17」を背負った山崎福投手は、背番号「0」に変更となる。

増井投手は、静岡高校、駒澤大学、東芝を経て、2009年に北海道日本ハムから5位指名を受けて入団。1年目は先発として起用されるが思うような数字を残せず、2年目に中継ぎに転向した。すると56試合に登板して防御率1点台と、その才能が開花する。2012年にはリーグ最多の73試合に登板し、ともにパ・リーグ新記録となる45ホールド、50ホールドポイントをマーク。3年目にして最優秀中継ぎのタイトルに輝いた。翌年には、史上最速で通算100ホールドに到達する。

2014年から抑えを任されるようになり、2015年には福岡ソフトバンクのサファテ投手と、熾烈なセーブ王争いを演じる。最終的にはわずか2セーブ差でタイトルを逃したものの、キャリアハイの39セーブをマーク。球界を代表する守護神としての地位を確立した。

しかし、昨季の前半は勝負所を任されながら踏ん張りきれず、10セーブを挙げた後に先発へ再転向。すると、ルーキーイヤー以来となる久しぶりの起用の影響を全く感じさせず、8月には自身初の完封勝利を含む怒涛の7連勝。終わってみれば、チームの日本一に大きく貢献する10勝10セーブを記録した。1人の投手が2桁勝利2桁セーブを同時に達成するのは、実は両リーグ合わせて16年ぶりとなる快挙である。今季は守護神に戻り、チームが低迷する中で52試合に登板、6勝1敗27セーブという成績を残した。

150キロを超える速球と落差の大きいフォークを武器とする増井投手。奪三振能力は、今季シーズン最多セーブの記録を大幅に更新し、リーグMVPに輝いたサファテ投手をも凌ぐ。また、「クローザーをやりたい。あのスリルは先発では味わえない」とコメントする精神面の強さも、彼の魅力の1つだろう。

8年間のプロ生活で、先発・中継ぎ・抑えを経験し、その全てで結果を残してきた増井投手のFAは、瞬く間に今オフの目玉となった。結果的に同リーグのオリックスが争奪戦を制し、海外FA権を行使した現・守護神の平野投手がメジャーに移籍した場合の穴埋めに成功した形となる。長村球団本部長は「重要な一角をまかなえる投手が来てくれたのは大きい。来年は抑えで頑張ってもらいたい」と早速起用法を明言。通算110セーブの実績があり、最も安全な形で1死を稼ぐ「三振」を奪える増井投手は、新・守護神としては適任だろう。

しかし、平野投手の去就は未定だ。もちろん残留の可能性もある。これに対し福良監督は、「ダブルストッパーをやってもらうつもり」とコメント。今季台頭した近藤投手、黒木投手を含めた4選手を順番に休ませることが可能になり、「フルシーズン戦い抜くことができる。増井(獲得)は本当に大きいし、平野が残ってくれれば一番いいが」と展望を語った。破壊力抜群の打線を擁するオリックス。実績のある2投手のダブルストッパーが誕生することになれば、他球団にとって大きな脅威になることは間違いないだろう。

「普通にやってくれればできる。若いピッチャーも学ぶべきところは多い。投手陣のまとめ役も期待している」と、新チームの首脳陣から大きな期待を寄せられている増井投手。入団会見は12月7日に行われる。

記事提供:

パ・リーグ インサイト

この記事をシェア

  • X
  • Facebook
  • LINE