埼玉西武の「18」を継ぐ男。多和田真三郎投手は獅子の歴史に名を残せるか

パ・リーグ インサイト 吉田貴

2017.12.4(月) 00:00

プロ野球において背番号「18」は、球団のエース格であることを示すことが多い。「11」や「19」を背負う選手の活躍により、「18」が不動のエースナンバーと呼ばれる機会は少なくなってきたものの、やはり特別な番号であることは間違いないだろう。特に埼玉西武では、その歴史的な経緯もあって、特に重たい意味を持つ背番号の1つである。

まずは、埼玉西武の「18」の系譜を紹介したい。1987年からは11年間にわたって、郭泰源氏がこの番号を背負った。最速158キロとも言われる剛速球から「オリエンタル・エクスプレス」の異名で呼ばれていたことは有名だろう。入団1年目でいきなりノーヒットノーランを達成すると、リーグMVP1回、最高勝率2回など、華々しい実績を残した。外国人投手の歴代最多勝利(117勝)記録保持者であり、故郷・台湾プロ野球の発展にも大きく寄与した人物である。

次に「18」を背負ったのが、松坂大輔投手だ。西武の「18」としてプレーしたのはドラフト1位で入団した1999年からメジャー挑戦までの8年。その間、高卒新人王から始まって、最多勝3回、最多奪三振4回、最優秀防御率2回、沢村賞1回。さらに2006年と2009年のWBCでともにMVPに輝くなど、まさに大エースの活躍を見せた。日本球界の歴史上、「18」を背負った主戦投手は数え切れないほどいるが、当時は、球界全体で見ても「18」と言えば間違いなくこの「平成の怪物」を表した。

以降2年間の空白があって、2009年から5年間「18」の系譜に名を連ねたのは、涌井投手(現・千葉ロッテ)だ。「18」元年からその重圧を跳ね除けて、16勝6敗、11完投4完封、防御率2.30と大車輪の活躍。最多勝と沢村賞を獲得した。正確なコントロール、無尽蔵のスタミナ、クールなマウンドさばきは、まさに「エース」の理想そのものだと言える。

そして現在、埼玉西武の「18」を背負うのは、来季プロ3年目を迎える多和田真三郎投手である。2015年にドラフト1位で埼玉西武の一員となると、1年目から1完封を含む7勝を挙げ、順調なスタートを切った。ノビのある直球と、キレ味抜群のスライダーが特徴的で、好調時は相手打者に付け入る隙を全く与えない支配的な投球を見せる。

ただ今季は制球に苦しみ、シーズン序盤はファーム調整を余儀なくされた。しかし、再昇格後の7月に3連勝、8月には2試合連続完封勝利を決めてそのポテンシャルの高さを証明。シーズン閉幕後には、稲葉新監督が率いる若き侍ジャパンに選出され、そこでも「18」を背負った。「ENEOSアジアプロ野球チャンピオンシップ」では、韓国戦、3点ビハインドの5回から登板すると、2回無失点の好投で後のサヨナラを呼び込む一助となっている。

大器の片鱗を見せたとはいえ、シーズンを通して成績を残せなかっただけに、来季の多和田投手には、いよいよ「18」に見合った活躍が求められるだろう。第一線では、今季完全覚醒を果たしたエース・菊池投手が待っている。来季のマウンドに投手陣をけん引する左右のWエースの姿があることを、今から楽しみにしたい。

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パ・リーグ インサイト 吉田貴

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