小島は早大時代の1年後輩、気になる男の存在がモチベーションに
済々黌(熊本)時代は2度の甲子園出場、そして早大時代は1年春からマウンドに立ち、その秋から主戦となった。だが、3年以降はけがに悩まされ、勝ち星から遠のいたものの4年秋の明大戦で久々の勝利。福岡ソフトバンクの大竹耕太郎投手のプロへの道がここで開かれたとも言っていい。
昨年は育成選手(2017年育成ドラフト4位指名)として入団し、ウエスタンリーグで8勝を挙げた大竹は、7月29日に支配下登録。直後の8月1日の埼玉西武戦でプロ初先発ながら8回2失点で初勝利。秋にはクライマックスシリーズにも登板するなど、11登板で3勝2敗、防御率3.88の成績を収め、階段を駆け上がるようなルーキーイヤーだった。
昨年の今ごろは支配下登録を目指すことを自身の刺激として練習をしていたが、今年は1人の気になる男の存在がモチベーションとなっている。
「いつかプロで投げ合いたいなと思っているんですよ」
早大時代の1年後輩、ともにリーグ戦で投げ、チームを勝利に導いた小島和哉投手が千葉ロッテに入団した。在学中は一緒に行動を共にしたり、練習も行っていたりする仲だった。兄貴と弟分のような信頼関係。同じ左腕として、お互いに励まし合い、尊敬し合ってもきた。
甲子園、大学日本一、けが……似ている2人の境遇
2人とも高校では甲子園出場、大学では日本一を経験するなど、エリートコースを歩んできたようにも見えるが、けがや不調に苦しみ、思い描くような成長曲線を描いてはいない。境遇は似ていると言ってもいいだろう。しかし、苦難の壁を前にしても、大竹はそれを乗り越え、先にプロの世界へ。さらには育成初のプロ初登板初勝利を成し遂げた。小島は先を進むその姿に刺激を受けてきた。
だから、大竹は負けるわけにはいかない。前を行く先輩の意地がある。
今年のキャンプでは昨年に比べてランニングの量が増えている。けがをしないことも頭に置き、体作りに励んでいた。早大、福岡ソフトバンクの先輩で同じ左腕の和田毅の背中を見て、ランニングの大切さを教わった。また、「自分は投げている時に軸足のひざが折れてしまう癖がある。CSの時もひざが折れて球威が落ちて制球が甘くなって打たれていました。体の開きが早くなっているのもありますけれど、そのためのフォームの見直しですね」と悪癖の修正をしながら、開幕1軍を目指している。
これまでも多くの早大出身のプレーヤーがプロの世界で成功を収めている。いよいよ期待が高まる2年目のシーズンで1学年差の“ライバル対決”は実現するのか。その時は、1年先にプロで揉まれた経験を武器に、違いを見せつけてみせる。
(沢井史 / Fumi Sawai)
記事提供: