3年目での初勝利を目指す田村、昨年までは「何でもガンガンやっていました」
プロ3年目の右腕に静かかつ熱い視線が注がれている。埼玉西武の田村伊知郎だ。1年目、2年目と1軍登板はあるがまだ勝ち星はない。
「結果を出そうと思いすぎて、(練習では)何でもガンガンやっていました。でも、冷静に考えたらどれだけがむしゃらにやってきても継続をしていかないとダメですもんね」
全力でこなすことは悪いことではない。だが、最後まで全力疾走し続けると息切れしてしまう。そのため、ペース配分をするべく「何でも考えながら、これと決めてこなすようにしています」。瞬発力を高めるために縄跳びをしたり、今まであまり重視していなかった筋力トレーニングにも時間をかけるようになった。
昨春に結婚し、日々の生活をサポートしてくれる相手もできたが、もちろんそれに甘えてはいけない。いかに継続してやり切るかを考えて練習に励む。その“意識改革”があってか、今年に入ってから調子は上々だ。キャンプ3日目の3日にはブルペンで100球を超える投球を披露し、ストレートは今までにない伸びを見せた。投げるたびに「ヨイショ!」と挙げる声にも、今年に懸ける意気込みを感じる。
首脳陣からも期待値が高まっており、投手力底上げが課題となるチームの“救世主”となるか。立教大時代は173センチと小柄ながら150キロをマークした右の本格派は、まっすぐに1軍マウンドのローテーション入りだけを見つめている。
(沢井史 / Fumi Sawai)
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