ブルペンで奮闘するルーキーたちの中でも、ひときわ目立った右腕の「気概」
キャンプ2日目の2月2日。アップ中、井口資仁監督の姿は一軍グラウンドにはなかった。指揮官は、二軍グラウンドでキャッチボールを行う選手たちの姿に見入っていたのだ。前夜に一、二軍の振り分けを行ったばかり。まずは、二軍で練習をすることになった選手たちの姿を見たかった。
「今回の一軍は、まだ見ていない選手や、見てみたい選手を中心に振り分けた。二軍の選手もシート打撃とかでどんどん出てもらうし、入れ替えは常時、行う。方針や上げる目途なども決めている」
二軍グラウンドで練習に励む選手の声は、一軍グラウンドにまで聞こえていた。それほどまでに二軍は活気に溢れていた。今岡真訪二軍監督としばし打ち合わせを行うと、井口監督はブルペンへと足を運んだ。グラウンド同様、ここも熱気に包まれていた。
中でも目についたのは、ルーキーたちの存在感だ。東妻勇輔、小島和哉、中村稔弥が勢いのあるボールを投げ込み、その横にある二軍ブルペンでも、古谷拓郎、土居豪人が立ち投げをしていた。そして、育成の鎌田光津希も支配下を目指してガムシャラに取り組んでいた。
「楽しみだね。気持ちの乗った球を投げていた。多少、ボールが甘くなっても気持ちで抑えてやろうという気概は大事。打者も、そういうグイグイとくる投手は嫌だからね」
ドラフト2位の東妻は1球1球、声を張り上げながら躍動感溢れる投球を披露していた。絶対に一軍に残ってやる、首脳陣にアピールする、打者に打たれるものかという若者の想いが、指揮官の胸まで伝わってくるような気持ちのこもった投球だった。打たれたくないという思いで投げるストレートと、打てるものなら打ってみろという気持ちで投げるボール。数多くの投手と激闘を繰り広げてきた指揮官は、魂の乗ったボールの重みを誰よりも知っている。だからこそ、背番号「24」のアピールをはっきりと脳裏に焼き付けた。
今後もシート打撃を中心に、様々な実戦形式を交えて選手の見極めを行っていく。その中で、大事にしたい要素の一つが”気概”である。勝利、プレーをすることへの空腹感。マリーンズが今、求めているのは戦う戦士たちだ。だから、キャンプ中はメイン球場、サブ球場、室内、ブルペンと色々なところに積極的に足を運び、選手たちの練習する姿をじっと目で追う。その背中が語る想いを見つけ出そうとしている。
収穫の多いキャンプ2日目だった。活気溢れる二軍。熱気に満ちたブルペン。一軍野手陣も行き残りに向けて、それぞれが考えながら練習をこなしていた。また一つ前に進んだ。苦難を乗り越えた先にある優勝への扉に、一歩、近づいた。快晴、24度。石垣島の空は青い。
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