日本シリーズの6連続盗塁阻止で“甲斐キャノン”が脚光浴びるも…
福岡ソフトバンクの甲斐拓也捕手が11日、沖縄県内で行っている自主トレを報道陣に公開した。チームメイトの堀内汰門捕手らとともに、初めて温暖な沖縄で自主トレを実施。この日はあいにくの雨模様で室内練習場での練習となったものの、キャッチボールや打撃練習で汗を流し「暖かいので、沖縄いいですね。野球をするのにバッチリです。充実しています」と笑顔を浮かべた。
昨年の日本シリーズでは6連続盗塁阻止を見せ、シリーズMVPに輝いた。“甲斐キャノン”が一躍脚光を浴び、オフはテレビ出演などで引っ張りだこになった。ただ、それも甲斐にとっては過去の話。「気持ちは切り替えています。今季はより一層レベルアップできるようにやっていく。まだまだアピールしないといけない立場。ポジションを掴まないといけないと思っています」と気持ちが緩むことはない。
シリーズ新記録となる6連続盗塁阻止、12球団トップのシーズン盗塁阻止率.447という数字が示す通り、“キャノン”と称される強肩が注目を集める。だが、周囲の注目とは裏腹に、自身は「盗塁を阻止してアウトにできれば、それはいいですけど、それ以上に大事なのはブロッキングだったり、エラーだったり。1番はそこが大事になってくる。細かいところのミスを防いでいかないといけないと思いますし、盗塁阻止よりも大事なことだと思います」と語った。
2年連続でゴールデングラブ賞に輝いたが、守備成績はリーグで傑出しているわけではない。パ・リーグ捕手で最多となる8失策を記録しており、守備率.991はリーグで8番目。「去年ミスが多かったというのは、まだまだ力が足りない部分だと思いますし、キャッチャーとしての力がまだないということ」と己を戒める。
スローイングは「どれだけ正確に投げられるか」
甲斐がスローイング以上に「大事」だとするのは、投球がワンバウンドになった時のブロックであり、捕球だ。当たり前のようだが、シーズンを通してミスなく終えるのは至難の技。とはいえ、ワイルドピッチやパスボールでみすみす走者を進塁させてしまっては、どれだけ盗塁を阻止しても、意味はない。
「いいキャッチャーになるには、そういうところを求めていかないといけないと思います。ブロッキングとかは数も多いし、そこをやらないと投手も苦しくなりますし、お互い苦しくなる。ボールを逸らさないとか、キャッチングミスをしないとかというのが1番大事になる。(ミスゼロも)可能だと思います。そこは無理ではないと思うので、可能性はあると思う」
もちろん、武器である“スローイング”を軽視するわけではない。「阻止率は意識していないですが、どれだけ正確に投げられるかは考えています。そのためには形も大事だし、無意識に(正しい形で)やれるようにならないといけない。それだけの練習も体の強さも必要。もっと鍛えて、バラつかないブレないようにしないといけないと思っています」。捕手として「大事」という部分を完璧にし、なおかつ“甲斐キャノン”の精度を向上させる。そうなってこそ、「鉄壁の扇の要」と言えるだろう。
グラウンドを離れて宿舎に戻っても、昨季の映像を見返すなど“頭のトレーニング”は欠かさない。もちろん、打撃力向上も大きなテーマだ。周囲からもてはやされても「まだまだ力が足りない」とする姿勢は変わらない。もっともっと成長したい。甲斐拓也の挑戦は、これからも続いていく。
(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)
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