平成“最強”の投手は誰? 名だたるレジェンドが登場、山本昌、工藤、岩瀬ら

Full-Count 広尾晃

2019.1.5(土) 14:33

昨季限りで現役を引退した岩瀬仁紀氏※写真提供:Full-Count(写真:荒川祐史)
昨季限りで現役を引退した岩瀬仁紀氏※写真提供:Full-Count(写真:荒川祐史)

中日で活躍した山本昌は平成だけで200勝を達成した唯一の投手

 4月30日をもって終了する平成の世。平成30年間を記録で振り返っているこの企画、今回は投手編だ。1989年の平成元年から、30年間の通算成績は以下のようになる。

〇勝利数()は平成での実働年数 ※は現役
1山本昌214勝(1989-2015)
2西口文也182勝(1995-2015)
3工藤公康177勝(1982-2010)
4三浦大輔172勝(1992-2016)
5石川雅規163勝(2002-2018)※
6斎藤雅樹151勝(1989-2001)
7桑田真澄146勝(1989-2006)
8石井一久143勝(1992-2013)
9杉内俊哉142勝(2002-2015)
10星野伸之141勝(1989-2002)

 平成になってから200勝を達成した投手は北別府学、工藤公康、山本昌の3人だが、平成だけで200勝を挙げたのは山本昌ただ1人。NPB史上では金田正一の400勝を筆頭に、200勝投手が24人いるが、先発とリリーフの投手分業が進んだ平成で200勝はかなりハードルの高い記録になった。

 平成では野茂英雄がドジャースに移籍して以降、トップクラスの先発投手がMLBに移籍するケースが増えたことも、NPBでの通算勝ち星が増えない一因となっている。現役では東京ヤクルトの石川が唯一、150勝を超えている。

〇奪三振数
1三浦大輔2481奪三振(1992-2016)
2工藤公康2287奪三振(1989-2010)
3山本昌2272奪三振(1989-2015)
4杉内俊哉2156奪三振(2002-2015)
5石井一久2115奪三振(1992-2013)
6西口文也2082奪三振(1995-2015)
7佐々岡真司1806奪三振(1990-2007)
8桑田真澄1633奪三振(1989-2006)
9涌井秀章1601奪三振(2005-2018)※
10岸孝之1591奪三振(2007-2018)※

 平成に入り、奪三振率は上昇傾向にあった。フォークなど、三振を奪うことができる球種を使う投手が増えたからだ。しかし、昭和とは投手の投げるイニング数があまりに違いすぎるため、NPB史上1位の金田正一の4490奪三振とは大きな開きがある。

〇セーブ数10傑
1岩瀬仁紀407セーブ(1999-2018)
2高津臣吾286セーブ(1991-2007)
3佐々木主浩252セーブ(1990-2005)
4サファテ234セーブ(2011-2018)※
5小林雅英228セーブ(1999-2011)
6藤川球児225セーブ(2000-2018)※
7馬原孝浩182セーブ(2004-2015)
8クルーン177セーブ(2005-2010)
9武田 久167セーブ(2003-2017)
10永川勝浩165セーブ(2003-2018)※

 先発投手とは対照的に、救援投手の記録では圧倒的に平成の投手が上位に来る。通算セーブ数の上位10人に割り込んでくる昭和の投手は、通算193セーブの江夏豊(1967-1984)だけだ。昨季限りで引退した中日・岩瀬の400セーブは、金田正一の400勝にも匹敵する大記録ではないだろうか。

〇ホールド数10傑
1宮西尚生294ホールド(2008-2018)※
2山口鉄也273ホールド(2007-2017)
3浅尾拓也200ホールド(2007-2018)
4マシソン166ホールド(2012-2018)※
5五十嵐亮太159ホールド(1999-2018)※
6青山浩二143ホールド(2006-2018)※
7ウィリアムス141ホールド(2003-2009)
7高橋聡文141ホールド(2004-2018)※
9平野佳寿139ホールド(2006-2017)※
9藤川球児139ホールド(2000-2018)※

 ホールドはセットアッパーを評価する指標。NPBでは2005年に導入された。このためランキングはすべて平成の投手になる。2018年に北海道日本ハムの宮西が、巨人の山口を抜いて歴代1位になった。そして2位になった山口と中継ぎ投手で初めてMVPに輝いた中日の浅尾が引退した。セットアッパーはクローザーとともに今の野球には不可欠の存在になっている。今後も、この数字は更新されるだろう。

〇通算防御率10傑(2000投球回以上)
1杉内俊哉2.95(2002-2015)
2涌井秀章3.46(2005-2018)※
3山本昌3.49(1989-2015)
4黒田博樹3.55(1997-2016)
5工藤公康3.57(1989-2010)
6三浦大輔3.59(1992-2016)
7石井一久3.63(1992-2013)
8星野伸之3.639(1989-2002)
9桑田真澄3.644(1989-2006)
10小宮山悟3.71(1990-2009)

 NPB史上には1.90の藤本英雄をはじめとして、通算防御率が2点を切る投手が4人いるが、いずれも昭和中期以前の投手だ。本塁打が増加し、各球団の戦力均衡が進んだ80年代以降、投手の防御率は下がり続けている。

 そんな中で今季引退した巨人の杉内は、平成ではただ一人3点を割っている、これは高く評価すべきだろう。ただ、前述したとおりダルビッシュ有、田中将大などエース級の投手が2000投球回を投げることなくMLBに移籍していることも、その要因として挙げられる。ダルビッシュのNPBでの通算防御率は1.99(1268.1回)、田中将大は2.30(1315回)だった。

(広尾晃 / Koh Hiroo)

記事提供:Full-Count

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