パ・リーグ屈指の好投手がぶつかり合う。クライマックスシリーズファーストステージ直前、両チームの投手陣を比較

パ・リーグ インサイト 吉田貴

2017.10.14(土) 00:00

東北楽天ゴールデンイーグルス・則本昂大投手(C)パーソル パ・リーグTV
東北楽天ゴールデンイーグルス・則本昂大投手(C)パーソル パ・リーグTV

いよいよ10月14日から、「2017 ローソンチケット クライマックスシリーズ パ」が開戦。ファーストステージでは、埼玉西武と楽天が直接対決する。シーズン最終盤で激しい2位争いを繰り広げた両チームだけに、手に汗握る熱戦が予想される。そこでここでは、勝負の大きな鍵を握るだろう両チームの投手陣に注目したい。

まずはファーストステージ第1戦で先発することが予告された絶対的エース。埼玉西武・菊池投手と楽天・則本投手だ。則本投手の奪三振能力の高さは誰もが知るところであるが、今季はより一層磨きがかかり、奪三振数は自己最高の222をマークした。世界記録タイとなる8試合連続2桁奪三振の偉業を達成し、4年連続で奪三振王にも輝いている。

対する菊池投手は、左腕としては日本最速となる158キロの速球とスライダーを武器に、今季リーグ最多タイの16勝を挙げた。リーグ最多の187回2/3を投げ、同じくリーグ最多の4完封。防御率は1点台をマークしたが、規定投球回に到達した埼玉西武の投手が防御率1点台でシーズンを終えるのは、1992年の石井丈裕氏以来25年ぶりの快挙だった。

両エースはともに「1点あれば充分」と言える実力と、エースとしての自覚を備えている。大舞台の経験は則本投手の方が豊富だが、シーズンの相性は菊池投手が圧倒的。打線の奮起が勝敗を左右する可能性が高いが、野球ファン必見の投手戦になることは間違いない。

短期決戦を勝ち抜く上では、エースに続く2番手も重要だ。楽天はまず、今季から先発3本柱に加わった岸投手が挙げられる。シーズンは黒星が先行したものの、176回1/3、防御率2.76はともにリーグ上位の好成績。埼玉西武戦の防御率も2.45と安定している。次に自己最多の11勝を挙げた美馬投手。4年前、日本シリーズMVPに輝いた勝負強さと、リーグ屈指のコントロールに付け入る隙は少ないだろう。

埼玉西武は、今季先発に専念して4年ぶりの2桁勝利を達成した野上投手に期待したい。球持ちの良いフォームから切れ味鋭いチェンジアップを投じて打者を幻惑し、好調時にはどんな打者も寄せ付けない。また、今季野上投手とともに一皮剥けた姿を見せた十亀投手も頼もしい。楽天戦は3勝1敗、防御率1.78と、菊池投手に次ぐ相性の良さを誇る。

続いて、両チームの中継ぎ陣に注目。楽天は、中継ぎ陣の核として福山投手が大車輪の活躍を見せた。今季65試合に登板して防御率は驚異の1.06。テンポよく打たせて取るスタイルと野手顔負けのフィールディングが、常に安定した投球を可能にする。戦力外を受けて2013年に楽天に入団したが、クライマックスシリーズにおける登板経験はない。チームへの献身的な姿勢とこのシリーズに懸ける思いの強さは、埼玉西武にとって脅威となるだろう。

対する埼玉西武の中継ぎ陣を率いるのは、武隈投手と牧田投手だ。2014年から中継ぎの柱を務める武隈投手は、自身初のポストシーズン。左の好打者が揃う楽天相手に、武隈投手がどんな投球を見せるかは重要になってくる。牧田投手は開幕前、第4回「ワールド・ベースボール・クラシック」に出場したこともあり蓄積疲労が心配されたが、自己最多の58試合に登板。日本のサブマリンが、今度は埼玉西武のサブマリンとして勝利への道標を示す。

また、今季は両チームともに外国人中継ぎ投手が躍動した。楽天のハーマン投手は、テンポ良く速球を投げ込む投球スタイルを武器に、リーグ2位の33ホールドを記録。一方、埼玉西武のシュリッター投手は、小さく動く速球を武器に凡打の山を築き上げ、リーグ4位の32ホールドを記録。例年の課題であった埼玉西武の中継ぎ事情に希望の光をもたらした。

最後に、両軍の守護神を取り上げる。楽天の松井裕投手は、序盤からハイペースでセーブを積み重ね、チームの快進撃に大きく貢献。怪我によって一時戦列を離れたものの、52試合に登板し、33セーブ、防御率1.20と安定感も文句なし。自身の今季最終戦前までは防御率0点台を維持していた。若き絶対的守護神として、最終回のマウンドに君臨する。

埼玉西武の守護神は増田投手だ。昨季に引き続いて最終回を任されると、150キロ超の速球とスライダーを駆使し、相手打者に向かっていく投球で自己最多タイの28セーブを記録。今季はやや安定感に欠ける場面もあったが、埼玉西武投手陣の「最後の砦」としての地位は揺るがない。

クライマックスシリーズはシーズンとは違い、3連戦を負け越したチームに次はない。上位チーム同士である以上、一瞬たりとも気が抜けない厳しい戦いを覚悟しなくてはならないだろう。好投手たちの意地のぶつかり合いに、早くも期待が高まる一方である。

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パ・リーグ インサイト 吉田貴

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