4年ぶりにAクラス入りを果たし、「2017 ローソンチケット クライマックスシリーズ パ」の出場権を勝ち取った埼玉西武。2007年から始まった本シリーズだが、埼玉西武は今季で6度目の出場となった。楽天とのファーストステージをものにすれば、福岡ソフトバンクの待つファイナルステージへの挑戦権を得られる。ファーストステージはリーグ2位の埼玉西武の本拠地で行われるが、それ以上の大きなアドバンテージは設けられていない。
埼玉西武は、あらゆる意味でクライマックスシリーズの怖さを知っているチームであると言えるかもしれない。今回は、これまでの埼玉西武のポストシーズンを振り返っていきたい(プレーオフ時代は除く)。
【2008年、シーズン1位・クライマックスシリーズ優勝】
リーグ優勝を果たし、セカンドステージ(ファイナルステージ)が行われる県営大宮球場で、北海道日本ハムを迎え撃ったこの年。第1戦は中島選手(現・オリックス)の2打席連続弾が飛び出し、大差で勝利する。第2戦と第3戦はダルビッシュ投手(現・ドジャース)と北海道日本ハムの継投策の前に抑え込まれて、優勝チームに与えられる1勝のアドバンテージが消滅。しかし、第4戦は石井一久氏の快投と細川選手(現・楽天)の2ランなどで打ち勝ち、第5戦は涌井投手(現・千葉ロッテ)が3安打完封を決め、日本シリーズ進出を果たす。
【2010年、シーズン2位・ファーストステージ敗退】
2008年、そのまま日本一に輝いた埼玉西武であったが、翌年クライマックスシリーズ進出はならず。迎えた2010年シーズンは、一時マジックを点灯させながらも、終盤に失速して1位の福岡ソフトバンクとゲーム差なしの2位。ヤフードームを目指し、3位の千葉ロッテとのファーストステージに臨んだ。だが第1戦は延長11回表に福浦選手から勝ち越し弾を浴び、第2戦も延長11回表に井口選手に決勝打。ともに延長戦の末に逆転負けを喫する。
【2011年、シーズン3位・ファイナルステージ敗退】
2011年は、2位の北海道日本ハムを破ってファイナルステージに進出するも、リーグ王者の福岡ソフトバンクに3連敗し、日本シリーズへの望みは断たれた。福岡ソフトバンクが王手をかけた第3戦は、埼玉西武のエース・涌井投手と、福岡ソフトバンクのエース・杉内投手(現・巨人)が、ポストシーズン史に残る投手戦を繰り広げる。両雄の快投で、9回まで両チーム無得点。延長10回表に埼玉西武が先制するが、その裏に同点打を許して悔し涙を見せた涌井投手の姿は、多くの野球ファンの印象に残っていることだろう。
【2012年、シーズン2位・ファーストステージ敗退】
シーズンは北海道日本ハムとの激しい優勝争いに敗れ、ファーストステージで3位の福岡ソフトバンクと対決。第1戦は先発の牧田投手が2失点完投と奮闘するも、接戦に敗れる。第2戦は岸投手(現・楽天)が6回無失点と好投し完封リレーをつなぐが、3戦目は9回裏の追い上げもあと一歩及ばず、僅差で敗北。ファイナルステージへの進出はならなかった。
【2013年、シーズン2位・ファーストステージ敗退】
最もファンの記憶に新しいのは、2位でシーズンを終えて臨んだ2013年、千葉ロッテとのファーストステージだろう。第1戦は3被弾で大敗を喫し、第2戦は岡本投手が完封勝利を決め、1勝1敗の五分で迎えた勝負の第3戦。6回途中2失点と粘りの投球を続けた先発の牧田投手だったが、援護に恵まれず。リードを許した悔しさからか、降板後は涙を耐えきれなかった。6回裏に1点を返すも届かず、埼玉西武は4年連続でクライマックスシリーズに出場しながら、いずれも敗退するという結果に終わる。
さて、4年ぶりのクライマックスシリーズ進出を果たした今回の埼玉西武の主力の中には、上記の試合のほとんどを経験した中村選手、栗山選手など、今回のクライマックスシリーズを並々ならぬ思いで迎える選手も多い。一方で、源田選手や森選手など、初めてこの大舞台に臨む選手もいる。双方がバランスよくチームにいることは、大きな武器になることだろう。
また、例年の課題であった「遊撃手の不在」は源田選手の加入で解決し、救援陣も武隈投手やシュリッター投手の存在で頼もしさを増した。打線もさらに破壊力を増し、リーグトップの得点力を誇る。今季のクライマックスシリーズでは初めて楽天との対決となるが、落とせない試合の怖さをどこよりも知っている埼玉西武が、最後に笑うことができるだろうか。
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