ロッテ・坂本光士郎「悔しいシーズン」夏場以降投げ始めたツーシームは来季も「取り入れていきたい」

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2024.12.12(木) 09:00

ブルペンで投球練習するロッテ・坂本光士郎[撮影=岩下雄太]

 「開幕一軍を迎えられなくて、去年よりも登板数とかも減っている。いい場面で投げるというのも、去年の方がいい場面で投げられていたので、そういうところが悔しいシーズンになったのかなと思います」。

 ロッテの坂本光士郎は昨季シーズン自己最多の51試合・16ホールド、防御率3.21と充実のシーズンを送ったが、今季は37試合に登板して、1勝2敗11ホールド、防御率5.73、左打者の被打率も.348と苦しんだ。

◆ 2024年に向け体を大きくする

 坂本は今季を迎えるにあたって、新たに「ウエイトトレーニングとかは結構やっているので、そこは硬い筋肉にならないように、柔軟であったり、柔らかくというのは思ってやっています」と、ウエイトトレーニングに力を入れた。

 自主トレではチームメイトの澤村拓一、年が明けてからは清水昇(ヤクルト)といった実績のあるリリーバーと汗を流した。

 「澤村さんの考え方だったり、ヤクルトの清水であったり、すごく実績もありますし、先輩、後輩関係なく気になったことは聞きましたし、吸収できるところは吸収できるようにやっていました」。

 「澤村さんもですけど、ウエイトであったり投げる時にこうなってるよと言われて、それを試しながらやりました。清水に関しても、前に突っ込んでしまうということがあったので、それをどう修正したらいいかなという話をしました」。

 2月の石垣島春季キャンプでは「投げさせてもらって経験をさせてもらった分、恩返ししないといけない。自分のため、そこに関しては去年と同じ成績だとダメだと思いますし、もっともっと上を目指していかないといけないと思いながらやっています」と、昨季以上の結果を残すため汗を流した。


◆ ストレートに手応え

 練習試合、オープン戦では悔しい投球内容が続き、開幕はファームスタート。

 坂本は「制球自体がオープン戦では結構バラバラだった。しっかりゾーンに投げ込むことができないと一軍に呼ばれないなと思っていたので、ストレートの質とゾーンにしっかり投げ込むことを意識してやっていました」と、“制球”、“ストレートの質”にこだわってきた。

 ファームで過ごしていた時間で、「去年どこが良かったのかというのを見ながら、合わせるじゃないですけど、体自体も変わっているので、そこに戻すというよりかは進化を求めながらやってました」と自身の映像を振り返り、「上(上半身)で投げたりというのがあったんですけど、下(下半身)もだいぶ大きくなっていると思うので、下(下半身)をもっと使えたらいいなと思ってやっていました」と、オフから取り組むウエイトトレーニングで大きくなった体にあった上半身と下半身が連動したフォームを作った。

 5月10日に今季初昇格を果たすと、5月17日の日本ハム戦、1-1の9回先頭の五十幡亮汰へ投じた初球の外角152キロのストレートはものすごい威力を誇った。5月30日の古巣・ヤクルト戦では、2-3の7回二死走者なしで長岡秀樹を1ボール2ストライクから自己最速となる154キロで見逃し三振に仕留めたストレートは非常に素晴らしかった。

 坂本本人も「それまでのバッターはスライダーでずっと勝負していたんですけど、相手のバッターからしたら変化球もくるんだろうなというカウントの中で真っ直ぐ、外角で勝負したんですけど、ファウルになってもいい感覚で強い球という意識で投げた。結果的にいいところに決まってくれて、球自体も強くて、あの1球は今年の中でも一番良かったくらいの感覚でした」と手応えを口にした。

 5月17日の日本ハム戦から6月12日のDeNA戦にかけて10試合連続無失点。

 新シーズンに向けてオフは体を大きくした中で、上半身と下半身の連動性が噛み合ってきた時期だ。6月12日の取材で「やっと馴染んできて、いい感じで試合で投げられているかなと思います」とし、「1試合投げて連投とかになってくると体がキツかったりしてたんですけど、そこが今年は連投しても次の日も投げられるぐらいの感じなので、しっかり下半身を使えているんだろうなと感じています」と自己分析した。


◆ 不振の原因

 好感触を得ていた中で、3-3の10回に登板した6月14日の中日戦、中田翔に決勝の適時二塁打を浴びると、6月後半から7月前半にかけて失点した登板が目立った。7月2日の日本ハム戦から3試合連続で失点した。

 失点した登板が続いた原因について坂本は「左バッターに踏み込まれていたので、センターから逆方向の打球が多いなと感じました。去年結構投げさせてもらって、データも色々と出ていると思う。去年と同じようなピッチングをしていた。何か変えなきゃいけないなというところで、そこから色々試行錯誤しながらという感じです」と説明した。

 坂本が話すように昨季左打者の被打率が.194(98-19)だったが、8月1日時点で.349(43-15)と打たれていた。「確実に打たれていますし、4割くらい(左に)打たれていた時期もあったので、やっぱり僕の仕事は左を抑えないといけない。そこで左に結構打たれていた。試行錯誤しながら、監督、ピッチングコーチと話をしながら、何が必要かというのをやってきましたね」。


◆ 左打者対策にツーシーム

 左打者対策として、8月以降左打者のインコースに投げ始めたのが140キロ台前半のツーシーム。「左バッターに逆方向であったり、被打率も3割後半ぐらい打たれているので、内を攻めないといけない。ツーシームでインコース投げるという感覚で投げています」。

 ツーシームを投げ始めて約1ヶ月近く経った8月30日の取材で「左バッターも今の何見たいな反応をしていることもあるので、今まで真っ直ぐだけだったのがツーシームが加わるだけでバッターも考えるだろうし、というのはあります」と好感触。

 また、8月は左のインコースに攻めにいった結果、死球が増えていた。死球が増えても仕方がないと思って、割り切ってインコースに投げていたのだろうかーー。「内を攻めないと絶対に抑えられないと思いますし、それがアウトコースだけで抑えられるのであれば、それで良いと思います。投げていく上で内を攻めないと抑えられない。いいバッターになればなるほど、インコースにいかないといけないなと思っています」。

 ツーシームを投げることでストレートの弊害はなかったのだろうかーー。「基本的にカットだったり、ツーシームというのは感覚が悪くなると言われるんですけど、そうならないようにキャッチボールであったり遠投から真っ直ぐの軌道を今までと変わらないようにと練習しています」。

 9月は7日の楽天戦、15日の西武戦で無失点に抑えたものの、1日のソフトバンク戦で5失点、18日の楽天戦で1失点で、CS争いが真っ只中だった中、9月19日に一軍登録を抹消。その後、一軍に戻ってくることなく今季の戦いを終えた。

 「データ的なものも出ていると思いますし、そこはすごく感じましたし、自分的には1シーズン通していいボールだったりを投げ続けることができなかったというところがありますし、そこはデータもそうですけど、マークもそうですし、自分の実力というところもあります」。2年連続して結果を残す難しさを改めて痛感した。

◆ 来季に向けて

 シーズンを終えて、今季体を大きくして上半身と下半身の連動という部分はシーズン通してどうだったのだろうかーー。

 「元が体自体小さかったし、パワーだったり、1年間投げ抜く体力がなかった。今年はウエイトだったりして体を大きくしたことで、やらなかった方が良かったとも思っていないですし、むしろ今年も進化しないといけない。今年もウエイトだったり体を大きくするところはしていきたいと思います」。

 8月以降投げたツーシームも来季、投げるつもりなのだろうかーー。

 「変化球は多ければ、バッターも絞られないですし、自分のものにできるものは取り入れていきたいと思っています。それがシュート、ツーシームだったり幅を広げていかないと、バッターも抑えられない。そこはやっていこうと思っています」。

 ZOZOマリンスタジアムで行われた秋季練習では「昨年のオフは体を大きくすることだけ目標にやっていたので、硬い筋肉だけではなく、柔らかい筋肉というのを目標に。1シーズン戦える体にしていきたいなと思っています」と、体づくりに励んだ。

 「中継ぎなので毎年50試合投げたいですし、ホールドというのも中継ぎの評価になってくると思うので、そこはできるだけ多く取りたい。防御率、左バッターを抑えるのが仕事。そこはしっかりやれるようにやりたいと思います」。左のリリーフが少ない中で、貴重な存在。来季の巻き返しに期待したい。

取材・文=岩下雄太

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