西武・杉山遥希、高卒1年目での初登板初先発も「難しい」 47番を受け継いだ工藤公康氏に追いつく活躍誓う

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2024.9.29(日) 07:00

9月12日の楽天戦でプロ入り初登板した杉山遥希(カメラ・佐々木 清勝)

 各球団の担当記者が推す選手を紹介する「推しえて」の第12回は西武のドラフト3位左腕・杉山遥希投手(19)。12日の楽天戦(ベルーナD)で球団として15年の高橋光成以来となる高卒1年目での初登板初先発を果たしたが、3回0/3を投げ6失点で痛恨の初黒星。それでも横浜高校、球団のOBでもある松坂大輔氏、背番号47を受け継いだ工藤公康氏に追いつく活躍を誓った。

(取材・構成=秋本 正己)

 初登板はホロ苦さだけが残った。横浜では夏の甲子園に2度出場。神奈川大会でも超満員の横浜スタジアムでプレーするなど、高校生として大舞台の経験は十分すぎるほどあった。2軍でも8試合に登板して場数は踏んできたつもりだったが、1軍での緊張感は想像以上。平凡なゴロをさばきながら一塁へ悪送球するなど、自分も周囲も信じられないプレーがあった。

 「慣れない感じで、自分でも何でああなったのかと…。思っているよりも緊張してしまったので、本来のプレーができませんでした。大観衆には慣れている方だとは思うのですが、相手のオーラを感じて、さらに緊張してしまいました。まだまだ力不足と感じながらも、空振りが取れたのはすごいよかった。当たり前のことを当たり前にするのが1軍では難しいと感じました」

 1軍初舞台で思い知らされた1球の重み。高校でも1球の大切さを肌で感じた試合があった。3年夏の2023年7月26日、神奈川大会決勝。慶応を相手に5―3と2点リードで迎えた9回1死二、三塁。左越えに逆転3ランを打たれ夏の甲子園3年連続出場を断たれた。さらには、横浜を破った慶応が甲子園で優勝。ともすれば、自分が日本一の投手になっていたかもしれない。

 「今でもあの1球で自分の人生が決まってしまったというか…。1球へのこだわりというのは持ち続けています」

 1球もムダにしたくない。そのために大切なのは制球力だ。渡辺GM兼監督代行が「コントロールを乱して大崩れするタイプではない」と評するほどの武器。源になったのは少年時代だ。左利きながら遊撃を守ることに憧れていた。

 「小さい頃は的を作って投げることをやっていました。左利きで守るとなると一塁、外野になりますが、遊撃に憧れていたので(自宅近くの)壁にボールを当てては捕ってすぐ投げるというのを繰り返していました。そのおかげもあって、投内連係は得意になった。でも、投球練習で右打者の内角目がけて投げてもたまに真ん中に入ってしまう。その1球が大きな失点につながったするのでもっと制球力をつけたい。(同期入団でドラフト1位の)武内さんみたいに150キロ出るわけではないので、コントロールをさらに強化していきたい」

 その武内も杉山と同じように、少年時代にボールの壁当てでコントロールを磨いた。同期入団とはいえ高卒と大卒の違いもあって4歳上だが、同じ左腕とあって、ことあるごとにアドバイスを求めているという。

 「どうやったら球が速くなるのか聞いたりしているんですけど、あまり教えてくれないというか(苦笑い)、武内さんが1年目で淡々と投げていく姿はすごく勉強になりますし、自分の中ですごい参考になる投手というか、毎日勉強させてもらっています」

 東京城南ボーイズで指導を受けた大枝茂明監督は、江戸川南シニアで松坂大輔氏を指導していた。中学の恩師が同じで、横浜から西武入団というルートも一緒。何かに導かれての縁かもしれない。

 「松坂さんが中学の時に投手をやっている動画を見せてもらったことはあります。同じルートをたどっているのかなと。松坂さんという大きな目標となる方がいるので、追いついて追い越せるようにやっていきたいです」

 西武の背番号47。高卒左腕となれば、224勝を挙げた球団OBの工藤公康氏の系譜を受け継いでいるといっていい。過去をひもとき他球団を見ても「47=左腕」というイメージは強い。同氏の現役時代をナマで見たことはないが、同氏の巨人時代のキャッチボールを動画で見て、そのすごさを実感。そして、「47=杉山」への思いを強くした。

 「工藤さんが内海さん(現巨人1軍投手コーチ、当時現役)とキャッチボールやっていた時のボールが本当にすごくて…。内海さんは弾道の高いボールを投げていたのですが、工藤さんは『ワンバウンドになってもいいから、低い球で投げろ』と糸を引くようなボールを投げていた。自分もああいうボールを投げたいなと、すごく参考になりました。背番号47は左腕というイメージが強いので、その47番の中で自分が一番を取りたいと思います」

◆中学から大ファン「ONE OK ROCK」会いたい

 〇…1月の入寮時、SNSなどで人気の「おぱんちゅうさぎ」のぬいぐるみを持ち込んだが、「それよりも」と強調したのが一緒に持ち込んだ人気ロックバンド「ONE OK ROCK」のタオル。中学からの大ファンで、登場曲も同バンドの「Make It Out Alive」。部屋でもテレビでDVDを流しているという。「今、一番会いたいのは誰か? と聞かれたらワンオクのメンバーに会いたいですと答えます」というほど。活躍してその夢を実現したい。

 ◆杉山 遥希(すぎやま・はるき)2005年9月23日、東京・江戸川区生まれ。19歳。小学校時代はジャイアンツジュニアでプレーし、篠崎中では強豪の東京城南ボーイズに所属。横浜では1年春からベンチ入りし、21、22年と2年連続で夏の甲子園に出場。23年のドラフト3位で西武入り。181センチ、82キロ。左投左打。年俸700万円(推定)。

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