「TQBってのがありまして…」楽天に並んだソフトバンク、交流戦逆転Vへ小久保監督がマネジャーからレクチャー

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2024.6.16(日) 06:00

1回2死二、三塁、近藤が左中間に先制3ランを放つ(カメラ・朝田 秀司)

◆日本生命セ・パ交流戦 ソフトバンク6―2阪神(15日・みずほペイペイドーム福岡)

 ソフトバンクが交流戦同率首位に浮上し、交流戦逆転優勝に前進した。初回、近藤健介外野手(30)の全12球団制覇弾となる9号3ランで先制すると、5回には4年目の“ギータ2世”こと笹川吉康外野手(22)のプロ1号ソロも飛び出した。楽天が広島に敗れたため、勝敗は同数。16日の最終戦の結果次第で、最多を更新する9度目の交流戦V(最高勝率を含む)か、楽天の初優勝かが決まる。得失点率差(TQB)での決着となる可能性もある。

 近藤が鮮やかなアーチを架けた。初回2死二、三塁。内角に食い込むツーシームを完璧に捉え、打球を左中間テラス席に運んだ。ダイヤモンドを回り、ダッグアウトに戻ると、痛めた右手は使わず、一塁側にもかかわらず窮屈そうに左手でハイタッチ。「痛い動きもありますし、そこは大事を取って」と屈強なナインの“魔の手”から患部を守った。

 12日のヤクルト戦(みずほペイペイ)で右手中指と薬指の付け根を捻挫して以来、初めての一発。それでも5番打者として強行出場を続けている。内角球に詰まらされれば、歯を食いしばって強烈な痛みに耐えた。「僕は移籍してきましたが、ホークスの一員としてそういう野球を目指している」と自負する。「そういう野球」とは「王イズム」。小久保監督は「(王監督に)『主力は出るところからの話』というふうに育てられたのでね。近藤は生え抜きではないですが、ホークスの一員、主力としての責任感は非常に頼もしく映っている」とガッツをたたえた。

 これで記念すべきプロ野球45人目となる全12球団からの本塁打となった。知らなかったようで「あ、そうなんですか!」と目を丸くしてから、うれしそうに細めた。年に3試合しかないセ・リーグ相手のカードで見事に仕留めた。

 チームは今季7度目の3連勝で、楽天と並ぶ交流戦同率首位に返り咲いた。貯金を今季最多を更新する23として、リーグ2位・日本ハムとのゲーム差も今季最大の9に広げた。交流戦最終戦で楽天とそのまま同率で並んだ場合、TQBが高い方が優勝となるだけに、16日も阪神に大勝して締めたいところ。指揮官は試合後、マネジャーから「TQBってのがありまして…」とレクチャーを受けながら帰路に就いた。近藤にとって移籍2年目、小久保監督にとっては采配1年目の“初タイトル”は目前だ。(田中 昌宏)

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