【日本ハム】福島蓮が開花1勝…自己最長7回2失点…ダルビッシュと重なる高い総合力

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2024.6.3(月) 09:12

福島蓮 

◆日本生命セ・パ交流戦 日本ハム9―2DeNA(2日・エスコンF)

 日本ハムの福島蓮投手(21)が5度目の挑戦でプロ初勝利を挙げた。2日のDeNA戦(エスコン)に先発し、打線の大量援護も受けて自己最長7回を投げて5安打2失点と熱投。開幕直前に支配下登録を勝ち取った高卒3年目右腕が、育成出身投手として球団史上初めての勝ち星をマークした。チームは連敗を2で止め、貯金を再び8とした。

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 万雷の拍手が1勝の価値を物語っていた。福島が自己最多100球の力投で連敗を止めた。5度目の先発でプロ初勝利。3万人超の前で初めてお立ち台に上がると「(マウンドよりも)こっちのほうが緊張します。うれしいです」。育成出身では球団初の勝利投手。無数のフラッシュを浴びながら、笑顔で記念球を握った。

 荒々しくDeNA打線に立ち向かった。5回までに9点の援護をもらうと、190センチから投げ下ろす最速150キロの直球を軸に5安打2失点。最後も京田を自慢の外角直球で空振り三振に封じた。新庄監督は「すごくないですか? 今日100球で終わりって決まっててちょうど100球でプロ野球人生のスタート」と“スター性”にうなずき「100勝目も100球で終わってくれたら素敵」と並々ならぬ期待を口にした。

 マウンドに立てば緊張とは無縁。肝の据わった性格は青森の“問題児”だった高校時代から変わらない。八戸西ではエースとして創部初の甲子園に導くも「他の先生方に目をつけられて…。学校生活では怒られてばっか」と野球部の小川貴史監督(40)。2年冬、校長室にセンバツ出場決定の一報が入った時もうれし涙を流す仲間をよそに、福島だけは赤点の補習で別教室にいた。校則違反を犯し、10日以上草むしりだけをさせられた時もあったが「やっちゃったことは仕方ないっす」と切り替えだけは異常に早かった。

 5月22日の前回登板は6回途中無失点と好投しながら、初勝利目前の8回に救援陣が痛恨の同点満塁被弾。まさかの結末にも「気にしてないっす」。高校時代の恩師が「サバサバを通り越してパサパサ」と表現するほどの強じんなメンタルで育成からはい上がってきた。

 新庄監督と“同期”の入団3年目。21年高卒ドラフト組で一番星を手にした右腕は「まだまだ。完投、完封してこそ先発なので」。大物感漂う未完の大器が、エースへの第一歩を踏み出した。

(堀内 啓太)

 ◆福島 蓮(ふくしま・れん)2003年4月25日、青森県生まれ。21歳。八戸西では1年春からベンチ入り。3年春はセンバツに21世紀枠で出場して初戦敗退。21年育成ドラフト1位で日本ハム入団。190センチ、76キロ。右投右打。年俸540万円(推定)。

 ■ちょっといい話

 福島の可能性を信じ続けた人がいる。元日本ハム投手で現在八戸西高でコーチを務める中村渉さん(44)だ。「長い手足に持って生まれた肩周りの柔軟性。ひいき目なしでプロに行ける素材だと思った」。入学時体重50キロ台だった右腕の才能をいち早く見抜いていた。

 「手先はダルビッシュの方が器用だけど、蓮は教えずともフィールディングやけん制が抜群にうまかった。ただ投げるだけじゃない投手としての器用さ、総合力の高さは共通している」。04年ドラフト7位でダルビッシュ(パドレス)と同期入団の同氏は日米通算200勝に達したレジェンドと教え子の共通点を明かす。

 高3夏。数々の名門大学から声がかかる中「4年後に行ける確約なんてない。プロは入りたくても入れない。“旬”の時に行った方がいい」と背中を押してくれたのも恩師だった。同校初のプロ選手が中村さん、2人目が福島。故障に苦しみ一度も1軍マウンドに立てなかった先輩の思いを受け継いで、21歳はこれからも腕を振る。

(日本ハム担当・堀内 啓太)

  〇…田宮は7試合ぶりの今季2号を含む3安打3打点をマークした。第1打席で二塁打を放ち迎えた3回。1死一、二塁で初球のスプリットを捉え、打った瞬間にスタンドインを確信する3ラン。第3打席でも二塁打を放ち、バッテリーを組む福島を援護した。打率3割4分1厘で首位打者をキープ。新庄監督が「17歳ぐらい(に見える)」と言う、“童顔イケメン”は「首位打者とか関係なく、もっと高みを目指してやっていきたい」と気を引き締めていた。

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