【西武】休養した松井稼頭央監督の顔中に貼られていたものとは

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2024.5.27(月) 12:37

松井稼頭央監督

 大きな瞳はまだ、希望に輝いていた。24日のオリックス戦前。14時からの早出特打を終えて三塁側ダッグアウトの柵に腰掛けていた松井稼頭央監督はグラウンドを見つめながら「交流戦で巻き返したいよね」とつぶやいた。そこから中日、巨人の戦力の話題になった。それから2日後の電撃的な休養発表。監督自身、辞めるつもりはなかったはずだ。

 前回担当時の98年。1番打者の松井稼頭央はすごかった。安打を放って盗塁し、中軸の適時打で生還。帽子からあふれる金髪を獅子のたてがみのようになびかせて、フィールドを躍動した。現役時代のようなプレーを選手に期待したのか。監督就任1年目に掲げたキャッチフレーズは「走魂」。悲しいかな実現できなかった。森がFAでオリックスへ移籍し、前年本塁打、打点で2冠の山川が自らの不祥事で離脱。攻撃力の低下で5位に沈み、浮上を目指した今季も新外国人のアギラーが右足首痛で離脱し、コルデロも変化球攻めに対応できず2軍暮らしが続いている。盤石とみられた投手陣もエース高橋の不調に加え平良、セットアッパーに期待された甲斐野が故障。投打がかみ合わなかったことに加え、若手の伸び悩みも響いた。

 それでも不満を口にすることはなかった。先発投手が崩れれば翌日の練習で一緒に走り、好機で凡退した選手にはさりげなく話しかけてフォロー。叱責することなく選手に寄り添っていた。就任1年目は65勝77敗1分。2年目の今季は15勝30敗。試合後、取材を拒否する監督を何人も見てきたが、松井監督はどんなに大敗しても188試合すべて取材に応じてくれた。「僕が暗くなったら終わりじゃないですか」。話したくない時も多々あったはず。答えづらい辛らつな質問にも我慢して、誠実に対応してくれた。

 9日に本拠地で行われた練習。松井監督の顔のあちこちに指先大の円形状テープが貼られていた。聞けば短いハリがついているものだとういう。「歯を食いしばっているうち、顔(の筋肉)が固まってしまって…」。思うように戦えず、誰よりも悔しかったのは松井稼頭央自身だ。監督室の私物を運び出して球場を去る時、「もちろん、もっとやりたかった…」と言葉を絞り出した。志半ばでチームを離れるのは本意ではないはず。小学校3年で野球を始めてからずっと着続けてきたユニホームを初めて脱ぐことになった。愛犬との散歩、日課のウェートトレーニングでリフレッシュして、再びユニホームを着る時に備えてほしい。(西武担当・秋本 正己)

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