ロッテ・小島和哉、エースの覚悟と目標の舞台 「1球目からフルパワー」の投球理論を語る

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2024.5.12(日) 07:00

4月30日のオリックス戦の試合前、リラックスした表情で練習に臨むロッテ・小島(カメラ・義村 治子)

 「スポーツ報知」の各球団担当記者が推す選手を紹介する「推しえて」第3回は、ロッテ・小島和哉投手(27)。2年連続の開幕投手を務めたエースは、4月5日に12球団一番乗りの完封で今季初白星を挙げ、ここまで3勝3敗で防御率2・11(11日現在)。佐々木朗希(22)、種市篤暉(25)ら若手3本柱のリーダーが、覚悟と目標の舞台を明かした。(取材・構成=竹内 夏紀)

 2年連続開幕投手を務めた小島は、4月5日のオリックス戦で12球団一番乗りとなる完封で今季初勝利を飾った。

 「去年の反省を生かし、悪かった試合の次の登板で、長いイニングを投げられているのは、まあまあなのかな。でも、5回で終わった試合が2つもあるので全く満足はしてないです。7回は最低、毎週投げないといけない。年間で170回(昨季は158回1/3)を投げることを目標にしているので、24、25試合投げる必要がありますから」

 好投手と投げ合うエースの宿命か―。開幕から4戦は味方の援護が2得点のみにとどまり、1勝3敗と負けが先行した。だが援護に恵まれなくても、3勝11敗と大きく負け越した22年の経験から動じなくなった。

 「言い方が合っているか分からないけど、自分でどうしようもできないことに意識を持ってくのはすごくムダな心配だと。(味方が得点を)取っても取らなくても気にしない。点を取った後の次の回が大事というけど、無得点の後でも、やることは変わらない。神経質になりすぎたら長いイニングを投げられないし、自分にも余裕を持たないといい投球はできない」

 先発として大一番を勝ち抜いた経験が、さらに小島を成長させた。昨年のシーズン最終戦(楽天)は勝てば2位、負ければ4位転落の状況で7回無失点。チームをCSへ導いた。

 「今は『これがプロ野球で最後の試合だ』と思って、入りを大事にしている。1球目からフルパワーで投げようというメンタル。自分を奮い立たせるにはどうしたらいいかと考えたら、やっぱり去年の最終戦はそういう気持ちだった。(今年完封した)オリックス戦も初回から飛ばして、最後の最後までしっかり真っすぐも強かった。ピンチでギアを上げるより、ランナーがいない時にギアを上げ、バンバンバンバンって抑えた方が早いという理論です!」

 昨年はチームで唯一、規定投球回に到達。佐々木、種市ら若手3本柱をけん引するエースは後輩たちの実力を認めつつ、エースとしての自覚ものぞかせた。

 「本当にタネ(種市)も朗希もめちゃめちゃすごい。けれど、自分にないものを求めてもあまりよくない。自分の持てる手札で試合をつくる。自信でもないですけど、3年間は(規定投球回を)投げたし、脱落しないことは当たり前。その中で吉井さん(監督)に期待してもらっているので、すごく応えたいです」

 登板した日はなかなか寝つけないという。抹茶やお香、大好きなサッカーのテレビ観戦などで息抜きも忘れない。

 「抹茶とお香はずっと継続しています。あとは海外サッカーのプレミアリーグが今一番熱い! 朝4時から始まる試合も見る。そこに合わせて睡眠を6時間を取って見て、朝6時に寝たりします。もちろん登板には支障がない、投げた日とかです。僕、投げた日は全然寝られないんです。デーゲームの時だけですけど、めっちゃきついです」

 埼玉出身だが、生まれは母の地元・愛知。転勤族だったため、広島で2歳まで過ごし、幼稚園は栃木・鹿沼市。小学1年生から埼玉に住み、野球を始めたきっかけは3歳上の兄の影響だった。

 「(きっかけは)兄の野球についていかされて、意外と投げたらうまかった。当時の映像見ると、今でもうまいなって自分で思うんです。キャッチボールしてても、ちゃんと(捕手が)座ったところに全部ストライクゾーンに投げていて、しかも投げ方もほぼ今とあまり変わってなくて、きれいなんですよ。おいっ子が今5歳で軽く野球をやってて上手なんですけど。比較しても、上手だよねって言われますね(笑い)」

 浦和学院では2年生エースとして春のセンバツを制覇するなど、甲子園のスターだった小島。次なる“夢の舞台”は日本シリーズだ。

 「去年の(先発予定だったCSファイナルの)オリックス戦は、投げる前日の試合で(チームが)敗退してしまって、投げられなかった。ファイナルでも投げたかったし、その先でも投げたい。そのために野球選手をやっている。いい舞台で投げたい。そのために、まずシーズンでしっかり1年間、活躍できるようにしたい」

 ◆ロッテの23年シーズン最終戦 CS争いが最後までもつれ、10月10日の楽天戦(楽天モバイル)は勝てば2位、負ければ4位になる大一番。当初は9日に予定されていたが、雨で10日に順延し、当日も降雨の影響で開始が30分遅れた。先発を託された5年目の小島は、7回6安打無失点の好投で10勝目。チームは5―0でCS進出を決めた。

 ◆小島 和哉(おじま・かずや)1996年7月7日、愛知県生まれ。27歳。小2から野球を始め、中学では行田シニアに所属し、2年時に全国大会に出場。浦和学院では1年夏からベンチ入り。秋からエースで、2013年春のセンバツは2年生エースとして全5試合に先発し、防御率0.64で制覇。14年夏は高校日本代表に選ばれ、U18アジア野球選手権準V。早大では4年時に主将。18年ドラフト3位でロッテ入団。自身初の開幕投手を務めた23年は、3年連続かつチームで唯一、規定投球回に到達。178センチ、85キロ。左投左打。今季年俸1億500万円(推定)。

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