オリックス・山下舜平大の直球は握りに秘密 藤川球児氏が「大谷と同じ」と徹底解剖…剛腕対談<下>
スポーツ報知
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2024.2.20(火) 05:00
オリックス・山下舜平大投手(21)とスポーツ報知評論家・藤川球児氏(43)の剛腕対談が実現した。卓越した投球理論を持つ球児氏は舜平大の直球の握りに「大谷選手と同じ」とビックリ。最速160キロを計測する独特な握りを徹底解剖した。(取材・構成=小松 真也)
球児氏(以下、球)「14日のライブBPの投球では、カーブでフォームのバランスを確認しているように映りました」
山下(以下、山)「カーブがいい形で決まれば、それが理想的な体の使い方だと考えています」
球「カーブでバランスを取ることで(腕の)トップの位置が決まる。その感覚があった上で真っすぐを投げると球持ちが良くなる」
山「高校3年の時に、その感覚が分かるようになって、それからです」
球「変化球はカーブとフォーク。新しい球種は頭に描いている?」
山「フォークもまだ全然完成していないですし、真っすぐとカーブは本当にいい組み合わせだなと思っているので、そこは崩さずにやっていくつもりです」
球「球速や回転数など自身のボールの数値はチェックするタイプ?」
山「まだ自主トレでそういう施設に行ったりとかができていないので、自分が分かる範囲で、この時期は回転数と球速を重視しています。例えば、154キロが出ているつもりで149キロだったら良くないですし、自分の感覚とのギャップを少しでもなくせれば」
球「なるほど。誰かと比較するのではなく、あくまで自分と向き合うためのツールにしている。その認識が正解。これからの選手にも数値を生かしてプレーする方法を伝えていってほしい」
(ここで互いに真っすぐのボールの握りを見せ合う)
球「山下投手はすごい握りですよ。手が大きいし、指も長いから大谷投手(ドジャース)ぐらいボールをつかんでいる。すっぽり覆っている。僕は人さし指と中指をくっつけて、全体的にボールとの接地面を減らす感じ」
山「え~、すごいっすね!」
球「僕の場合は、この方が指先のつかまりがいい。テイクバックが大きかったからボールの重さを生かすために、浅く握って、だんだん圧力を加えて最後にぎゅっと力を入れる。最初からしっかり握ると力んで、腕が走らずにトップの位置が間に合わない。だから、脱力させることが必要。でも、山下投手はグリップが強いし、ショートアーム(※1)なら最初から力を入れていても間に合う。理にかなっている」
山「僕は昔からしっかりつかむ握り方でしたが、腕を大きく回していた時は合わないところがあって。入団2年目からショートアームに変えてしっくりきて、むしろ年々深く握るようになりました。リリースの時は指先でボールを抑え込むイメージです」
球「結局、リリースの瞬間に人さし指と中指に圧がかかる。だから、実際は放つ時に指先が二塁方向に倒れるんだけど、山下投手の感覚的にはずっと指先を本塁方向に曲げてボールを抑え込んだまま。腕の筋力があるからできることで、それがライズ(伸びる)する真っすぐにつながっている」
山「勉強になります」
球「最後に色紙に今季の目標をお願いします」
山「(悩んだ末に)リーグ4連覇です!」
球「大谷投手もチームの目標を大切にしている。チームありきじゃないと個人競技になっちゃうから。このまま突き進んでください」
山「頑張ります!」
※1 テイクバックの際に肘を伸ばさないコンパクトな腕の使い方で、トップの位置がつくりやすい。制球の安定や肩肘の負担軽減につながる。一方で大きく腕を回さない分、ボールに勢いをつけにくい。
○…山下は13日に続き、19日も野手の大里、香月とともに休日返上で自主練習した。第5クール初日の20日に2度目のライブBP(実戦形式の打撃練習)に登板予定。14日の初登板では早々と155キロを計測し「バランス良く投げた上で、球速も出せればいい」とテーマを設定した。直球とカーブに加え、新たにフォークも試す計画。3月の侍ジャパン強化試合にも出場する160キロ右腕は「シーズンでいい結果を出せるように、まだまだやりたい」と頼もしかった。
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