オリックスキャンプを台湾プロチームが視察 引率のOB平野恵一さん「学ぶところはたくさんある」

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2023.11.8(水) 11:26

オリックスキャンプを視察する中信兄弟コーチと平野恵一さん(中央)[写真=北野正樹]

◆ 「近年はもう一度、日本から学ぼうという動きがあります」

 7日から高知市で始まったオリックスの秋季キャンプに、台湾プロ野球「中信兄弟」(ジョンシン・ションディー)のコーチら7人が視察のために訪れた。

 引率するのは、中信兄弟の「ファーム野手発展ディレクター」で、OBの平野恵一さん(44)。

「台湾プロ野球は大リーグから学んでいるところが多いのですが、同じアジア人ですし身体の使い方などは日本人に似ています。そして、プロ野球の初めを日本から教えてもらったこともあり、近年はもう一度、日本から学ぼうという動きがあります。追い付き追い越せではありませんが、学んで協力し合ってアジアの野球を発展させようと日本にお願いしています」と平野さん。

 東日本大震災で義援金を含め、多くの支援をしてくれた台湾。その親日国のプロ野球に携わって2年。「僕の身内も1人、犠牲になりました。その恩返しの気持ちもあります」という。

 練習方法やデータの活用、そしてオリックスから学びたいのは若手選手の育成方法などだ。

「日本に比べて競技人口が少ないだけに、よい素材を見つけ育てるという育成方法は最も興味のあるところです。データについては台湾でも同じようにありますが、どのように数字を生かして選手にアプローチをしていくのか、選手がどのようにデータを生かしているのかなど、活用方法を聞いてみたいですね。学ぶところはたくさんあります」という。

 平野さんが現役時代、チームスタッフだった小浜裕一・球団副本部長は「交流することで、お互いに学ぶところや発見するところがあると思います。どのチームも同じようなシステムを導入していますから、特に隠すことはありませんし、お互いに勉強になったらいいのでは」と協力を惜しまない。


 平野さんは阪神でもプレーしたほか、2016年から21年まで二軍守備走塁コーチ、一軍打撃コーチなどを務めた。

 5日まで熱戦が繰り広げられた「関西決戦」となった日本シリーズ。

 阪神にはコーチ時代に一緒に汗を流した選手がほとんどで、オリックスにも現役時代にともに戦った選手もいる。

「関西ダービーは夢でもありましたので、本当に嬉しかったですね。どっちを応援するのではなく、もう本当にうれしくて、ありがとうございますという気持ちでした。第7戦まで素晴らしいゲームをしてくれ、プロ野球ファンに感動や共感を与えてくれたと思います。台湾プロ野球も刺激や頑張れる力をもらったというのはありますね」

 ダイビングキャッチやヘッドスライディングなど、常に闘志あふれるプレーでファンを魅了した平野さん。日台の野球の架け橋として、全力を尽くす覚悟だ。


取材・文=北野正樹(きたの・まさき) 

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