【オリックス】山本由伸、日本S新14奪三振!完投138球で逆王手「中嶋監督を日本一の監督にしましょう!」

スポーツ報知

  • ニュース

2023.11.5(日) 05:00

1失点完投、14奪三振の力投で日本シリーズ初勝利を挙げ、若月(左)と抱擁する山本(カメラ・渡辺 了文)

◆SMBC日本シリーズ2023第6戦 オリックス5―1阪神(4日・京セラドーム大阪)

「SMBC日本シリーズ2023」第6戦はオリックスが逆転勝ちを収め、対戦成績を3勝3敗として2年連続の日本一へ逆王手をかけた。先発・山本由伸投手(25)が9安打を浴びながら138球を投じ、シリーズ新記録となる14奪三振で1失点完投。6回途中7失点KOされた第1戦のリベンジを果たした。運命の第7戦はオリックスが宮城大弥投手(22)、阪神は青柳晃洋投手(29)が先発する。

 集大成に執念を込めた。負ければ終戦の中、山本が完璧に使命を果たした。「やっと終わった、と。最後、力を出し切っていたので。すごく良かったです」。最後は2死一塁から近本を二ゴロに仕留めた。今季最多の138球を投げ、日本シリーズ新記録の14奪三振で1失点完投。自身シリーズ5試合目での初勝利はオリックス初の完投勝利となり、2年連続の日本一へ逆王手をかけた。

 歯を食いしばり、踏ん張った。ノイジーに先制ソロを浴びた2回、2死満塁から近本、4回1死一、三塁から坂本をともにフォークで空振り三振を奪った。直球も走り、5回と8回にこの日最速の158キロを計測した。

 今季から左足をすり足気味に踏み出す新フォームを導入。「微調整でテクニック的なもの。(左)足の上げ方がちょっと変わっていた」と、中嶋監督はこの日、右腕が投球時の間に工夫を加えていたことを実感していた。「リミットないよ」と指揮官から伝えられたのが、109球を投げた7回降板後のベンチ。「途中から調子が良くなって、行けると思った」と力を振り絞った。

 第1戦は自己ワーストタイの7失点で6回途中KO。交代を告げられたマウンドで、語りかけてくれたのも中嶋監督だった。「こういうこともある。これがシリーズの難しさだな…」。一緒に悔しがり、一緒に前を向いてくれた。試合後のロッカーにも笑顔の仲間がいた。「由伸も人間だったか」。全員が気持ちを切り替えるエネルギーをくれた。

 今オフにポスティングでのメジャー挑戦が濃厚。チームのために、悔いのない毎日を過ごしてきた。同じ98年生まれ、育成出身のセデーニョはロッカーが隣どうし。助っ人勢の不調に気づけば、自分で調べた。「落ち込むな、っていう言葉は何て言うのかな…」。覚えたての英語で励まし、思いを共有しようとした。

 5戦目はブルペン待機。勝ち試合の9回にリリーフ登板する計画もあった。「若月さんのおかげです」と女房役を立てたのもエースらしい配慮。いつも一番乗りで球場入りし、足裏をマッサージ器に乗せながら自身の好不調、相手の特徴を必死に研究してくれる姿を知っているからだった。

 日本ラストの可能性が高い登板で、最上のフィニッシュを決めた。お立ち台で力強く呼びかけた。「明日しっかり決めて、中嶋監督を日本一の監督にしましょう!」。弟分の宮城に先発を託す第7戦。流れはオリックスにある。(長田 亨)

 ◆山本由伸に聞く 

 ―5度目の日本シリーズ先発で初勝利。

 「みんな心配しているかなと思ってマウンドに上がった。先制点を与えてしまったが、落ち着いて投げることができた」

 ―ノイジーの被弾以降は安定していた。

 「落ち着いて投げれたし、4、5回ぐらいから調子を取り戻せた。そこからは思い切っていくだけだった」

 ―若月は2回に先制された直後に同点打。

 「悔しい思いしているのを見ていた。やってくれると思っていました」

 ―4回2死一、三塁。森が右翼フェンス際の打球を好捕するビッグプレー。

 「森さんには、もう本当に感謝」

 ―第1戦の敗戦後をどういう気持ちで過ごしたか。

 「もう一回、回ってくるだろうと思っていた。今日は特に(負ければ阪神の日本一が)決まる試合だった。2敗目はつかないように集中していた」

 ―第7戦はチームを信じて見守る。

 「明日はとにかくみんなで気合入れてやるだけ」

 ◆記録室

 ▼最多記録14K 山本(オ)が14奪三振。99年〈1〉戦の工藤公康(ダイエー)、07年〈1〉戦ダルビッシュ有(日)の13Kを抜いて、1試合最多奪三振の日本シリーズ新記録となった。シリーズの2ケタ奪三振は、自身が21年〈6〉戦で11三振を奪って以来、22人で26度目。2度マークしたのは別表の通り4人目になる。

 ▼合計21K これで〈1〉戦の7Kと合わせ21奪三振。同一シリーズで20奪三振以上は12人、14度目。自身は21年の20三振に続き2度目となり、こちらも2度記録したのは75、76年の山口高志(阪急)と2人だけ。

 ▼45年ぶり 山本は1失点で完投勝利。シリーズでの完投は、初登板を完封で飾った21年〈2〉戦の高橋(ヤ)以来。阪急時代を含めチームでは、84年〈4〉戦の山田久志(完投負け)以来だが、完投勝ちは78年〈6〉戦の白石静夫以来、45年ぶり。

 ▼崖っぷちで初 この日は2勝3敗で迎えた〈6〉戦目。負けたらシリーズ敗退となる試合で2ケタ奪三振を記録した投手は

 回戦   奪三振と勝敗

92年〈7〉岡林洋一(ヤ)10●

07年〈5〉ダルビッシュ有(日)11●

17年〈6〉今永昇太(D)11-

21年〈6〉山本由伸(オ)11-

今年〈6〉山本由伸(オ)14〇

 4人で5度目。2度は山本が初。前回は9回1失点もチームは延長12回の末に敗戦しており、崖っぷちの試合に2ケタKで白星も、今回の山本が初めてだ。(阿部 大和)

関連ニュース

【オリックス】頓宮裕真が山本由伸をラブラブハグ「あと一つ」実家は隣同士 奇跡の幼馴染「おとなりさん」
【オリックス】ダメ押しソロの頓宮裕真、最終戦へ「悔いなく終わりたい」実家お隣・山本由伸と最後?の競演
吉村洋文大阪府知事、オリックス・山本由伸にフライング?惜別メッセージ「遠く大阪から応援してます」
【オリックス】山本由伸の138球1失点14K完投を米国も注目「圧巻の活躍」「驚くべき印象を与えた」
【オリックス】日本シリーズ逆王手で「山本由伸」がトレンド1位急上昇…「これぞエース」「これが見納めの快投」の声

記事提供:

スポーツ報知