【オリックス】山本由伸「努力を重ねて、もっと極めていきたい」…金田正一以来2人目の3年連続沢村賞

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2023.10.31(火) 05:00

3年連続で沢村賞を受賞した山本

 シーズンで最も活躍した先発投手に贈られる「沢村賞」の選考委員会(堀内恒夫委員長=元巨人)が30日、都内で行われ、オリックス・山本由伸投手(25)の3年連続3度目の受賞が決まった。3年連続受賞は56~58年の金田正一(国鉄)以来2人目。選考対象の「先発完投型」が激減する中、選考委員からはメジャー流の中4日登板を実践したDeNAのトレバー・バウアー投手(32)を高く評価する声も上がった。

 山本がまたキャリアを磨き上げた。「今まで活躍してこられた大先輩の方々に選んでいただける賞。認められるというのは、すごくうれしいです」。国鉄・金田正一しかいなかった3年連続の沢村賞。16勝、169奪三振、防御率1・21、勝率7割2分7厘と4項目をクリアした。勝利数で並んだDeNA・東は3項目。文句なしの受賞だった。

 3月のWBCでは世界一に貢献。「試合に入る姿勢や練習の取り組み。一流選手のすべてが勉強になりました」と謙虚に学び、シーズンの活躍につなげた。9月9日のロッテ戦(ZOZO)では自身2度目のノーヒットノーラン。2年連続の達成は36、37年の沢村栄治(巨人)と40、41年の亀田忠(イーグルス、黒鷲)以来、82年ぶり3人目の快挙だった。

 「自分の投球が一番影響する数字なので、すごく重視しています」と、こだわる防御率は自己ベストで、2リーグ制以降では5番目の数字だった。完投こそ2にとどまったが、被本塁打2もキャリア最少。パ・リーグ3連覇の原動力になった。

 今季から取り入れているのが、左足をすり足気味に踏み出すフォーム。沢村氏に似ていると聞き、大先輩の投球映像を見たこともあった。「すごい投手がそういうフォームをしていた。すごくうれしかったし、良かったです」。野球がうまくなりたいと、いつも考えている向上心の塊。「歴代の大投手の数字にはかなわない。全部を突き詰めていく。もっと努力を重ねて、もっと極めていきたい」と前を向いた。

 今オフにポスティングシステムによるメジャー挑戦が濃厚。でも、山本の一年は終わっていない。阪神との日本シリーズ第1戦は、5回2/3でレギュラーシーズン、ポストシーズンを通じて自己ワーストタイの7失点。負け投手となったが、11月4日の第6戦で再び先発する予定だ。「チーム一丸となって日本一を目指している。その一人として、全力でやっていきたい」と静かに誓った。まだ25歳。エースの進む道は明るい。(長田 亨)

 ◆セ最多勝DeNA東とW受賞推す声も

 選考委員会では、ともにリーグ最多の16勝を挙げたオリックス・山本とDeNA・東の2人を候補に議論が進められた。

 東は選考基準7項目のうち、勝利数と防御率、勝率の3項目をクリアした。特に勝率8割4分2厘は山本を上回っており、シーズン最終戦で3敗目を喫した10月4日の巨人戦(東京D)は8回1失点完投と勝ちに等しい内容。一部の委員からは03年の井川(阪神)、斉藤(ダイエー)以来のダブル受賞を推す意見もあった。

 しかし、東の3項目に対し、山本は奪三振を加えた4項目をクリアして一歩リード。「ベストワンの投手を選ぶべき」(堀内委員長)として、山本の単独受賞が決まった。

 ◆沢村賞 正式には「沢村栄治賞」。プロ野球創成期に活躍した故・沢村栄治氏(巨人)の功績をたたえ1947年に制定された。2リーグ制となった50年からはセ・リーグの投手が選考対象だったが、89年から両リーグに広げられた。選考委員は、昨年まで務めていた村田兆治氏、北別府学氏の死去により、今年から工藤公康氏が選任され、堀内恒夫委員長、平松政次氏、山田久志氏の4人となった。受賞者には金杯と副賞300万円が贈られる。

 ◆3度はパ初

 山本(オ)が21年から3年連続3度目の沢村賞。沢村賞を3度は、杉下茂(名古屋・中=51、52、54年)、金田正一(国鉄=56~58年)、村山実(神=59、65、66年)、斎藤雅樹(巨=89、95、96年)に次いで5人目の最多回数。3年連続は、金田に次いで2人目。3度、3年連続ともにパ投手では初めてになる。

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