これぞロッテ野球!代走で出場した和田、友杉の“1つ先を狙った走塁”が得点に繋がる!
ベースボールキング
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2023.9.18(月) 17:44
9回ロッテ二死二塁、安田の右前打で生還する二走和田。捕手柘植=ベルーナドーム (C)Kyodo News
● 西武 1 - 2 ロッテ ○<20回戦・ベルーナドーム>
ロッテ得意の“1つ先を狙った走塁”が得点に結びつき、西武に2-1で勝利。ビジター6連戦、最初のカードとなった敵地・ベルーナドームでの3連戦を2勝1敗で勝ち越した。
先発・西野勇士は「立ち上がり少し制球が乱れてしまいましたが、なんとか最後まで粘って投げる事が出来ました」と、初回に中村剛也に適時打を浴びて失点したが、2回以降は普段通りのテンポの良い投球でスコアボードに0を並べていく。特に6回からの3イニングは一人も走者を許さず、3人ずつで片付ける完璧な投球だった。
打線は西武先発・高橋光成の前に3回に一死二、三塁、4回も二死二、三塁の好機を作るもあと1本が出ず、1点が遠かった。0-1のまま9回は試合が進み、先頭のポランコがクリスキーからライト前に安打を放つと、ロッテベンチはすかさず代走に和田康士朗を送る。和田は続く角中勝也の1ボールからの2球目に二塁盗塁を決めた。
今季の和田は17盗塁中16盗塁が5球目以内に決めているが、「今年は何球以内というのはあんまり考えていないです」とのこと。盗塁成功率の高さについても「今年は去年ほど思いつめずに気楽に。去年は代走で出て行って、いかなくちゃいけないという感じだったので、今年はそういうのをなくして、別にいかなくてもいいやという感じで走っています」と明かす。そういった考えに至った理由について「大塚さんからも今年は積極的じゃなくて、行ける時に行こうという感じと話していたので、そういうところかなと思います」と教えてくれた。
その和田が二塁へ進むと、角中が空振り三振、山口航輝が左飛で2アウトとなったが、安田尚憲が「西野さんが完璧なピッチングをしていたので、何とか!という思いで打席に入りました」と、クリスキーのストレートをライト前に弾き返す。浅い打球だったが、二塁走者の和田はスピードを緩めることなく三塁ベースを蹴り、ヘッドスライディングで生還した。和田は「まずはチームのために1点を取るというのが第一なので、しっかり1点を取れるような走塁をやっていきたい」と9月14日の取材で話していたが、まさに有言実行の走塁で同点に追いついた。
1-1の12回に勝ち越したのも“1つ先の塁を狙った走塁”からだった。先頭の山口がボーのスライダーをセンター前に弾き返すと、続く代打・柿沼友哉がきっちりと一塁への犠打で一塁走者の山口を二塁へ送る。山口が二塁に進んだところでロッテベンチは代走に友杉篤輝を送る。ルーキーの友杉はショートでスタメン出場することも多いが、ベンチスタートの時は代走での出場が多い。「スタメンよりも代走は大事な場面で出るので、緊張感はあります」と話すが、「スタメンじゃないときは5回以降、常に準備している」と、試合で結果を残すために良い準備を行っている。
友杉は佐藤都志也の浅いレフトフライでレフト・ペイトンの捕球体勢を見て、三塁にタッチアップ。続く藤原恭大の打席中にボーが暴投し、その間に決勝のホームを踏んだ。試合を振り返ると、浅いレフトフライでタッチアップしていなければ、12回に得点できていなかった可能性があっただけに、貴重な走塁だった。5月に取材した時に友杉は“1つ先の塁を狙う走塁”について「まだまだミスがあったり、課題はすごいあるんですけど、先の塁を狙う意識はすごくしている。課題はありますけど、そこは続けていきたいと思います」と話していたが、ZOZOマリンスタジアムでの試合前練習では大塚明コーチの助言をもらいながら、走塁練習に励んでいる。そうした日々の積み重ねが、決勝点に繋がった。
本音を言えば、3回と4回の好機で得点できていれば良かったが、ロッテの武器である足を使った攻撃で得点し、投手陣も12イニングで1失点に抑え勝利したことに意味がある。19日からの首位・オリックスとの2連戦でも、投手戦が予想される。犠打や足を絡めた攻撃でなんとか1点を奪い、そのリードを投手陣が守り切る“ロッテ野球”を大阪のファンに魅せてほしい。
文=岩下雄太