【オリックス】山本由伸、82年ぶり3人目の2年連続ノーノー「すごく久々で気持ち良かった」
スポーツ報知
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2023.9.10(日) 05:00
◆パ・リーグ ロッテ0―4オリックス(9日・ZOZOマリン)
オリックス・山本由伸投手(25)が9日のロッテ戦(ZOZO)で自身2度目のノーヒットノーランを達成した。8月の石川(ソフトバンク)に続くパ・リーグ35度目(33人)、通算100度目(88人)。四球、死球を1つずつ与えたが102球で抑えた。昨年6月18日の西武戦(ベルーナD)に続く2年連続の達成は1936、37年の沢村栄治(巨人)、40、41年の亀田忠(イーグルス、黒鷲)以来82年ぶり3人目。2度達成は71年の鈴木啓示(近鉄)以来、複数回は72年に3度目を果たした外木場義郎(広島)以来。リーグ3連覇を目指すチームの連敗を2で止め優勝マジックは2つ減って12となった。
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余韻に浸る時間はなかった。山本を目がけ、次々と仲間が襲いかかってきた。「すごく久々で気持ち良かったです」と、無抵抗のまま受け止めたウォーターシャワー。史上3人目となる2年連続ノーヒットノーランを成し遂げた。
「立ち上がりからテンポ良くいけた。若月さんの配球がすごくさえていて、すごく助けられました」。3日前から絶好調を予感。「今日は完全試合をしましょう!」と若月に呼びかけるのが最近のルーチンで、現実になりそうなほどだった。序盤3回を30球で立ち上がると、4回にはこの日最速の156キロキロを計測。5回まで完全投球を演じた。
しかし、6回先頭の安田にストレートの四球。続く田村にも2ボールとカウントを悪くした。「(完全試合を)意識するの、早いよ」と絶妙のタイミングで声をかけてくれたのは女房役。「しっかり切り替えていこう」と言い聞かせた。8回は3者連続三振に斬り、9回も156キロを計測。2死から荻野に死球を与えても、最後は藤岡を二ゴロに仕留めた。
豊かな才能とともに、好奇心と向上心を持ち合わせている。7月の球宴では、念願だったソフトバンク・和田との対面がかなった。42歳でも第一線で輝ける理由は何なのか。「調整やトレーニングって、年齢によって変わっていくもの」と考えに柔軟さがあった。山本もメジャー志向を持ち、特にシーズン中は節制する毎日。「たまにはお酒も飲むよ」と大先輩の余裕にも触れ「リラックスも大事なんだな…」と学んだ。
試合前でもリラックスを心掛けるようになった。この日も球場入りすると「おめでとうございます」と31歳の誕生日だった山崎福を祝福。「さちくん」と呼ぶことが許される、気が置けない関係だ。登板2日前のブルペンは好不調に関わらず、25球以内を徹底。試合当日に集中するのは2時間前からと決め、長いシーズンを見据えた自己管理も快挙につながった。
今オフには、ポスティング・システムでのメジャー挑戦が濃厚。視察したヤンキース・キャッシュマンGMらを興奮させる快挙で、9月は20年から13連勝だ。これで42イニング連続自責点なし。14勝、防御率1・26、勝率7割3分7厘、145奪三振でリーグ4冠。今季初完封だったことが意外なほどだ。3連覇へのマジックも2つ減って12。「明日もノーヒットノーランが見られると思います」と10日に先発する宮城に“重圧”を与えた。左足をすり足気味に踏み出す新フォームに磨きをかけ、新たにつかんだ勲章。切り開いてきた道が、正しかったことを証明した。(長田 亨)
◆由伸に聞く
―達成の気持ちは。
「最後の一人までドキドキしていたので、とりあえずホッとしている」
―大歓声を浴びて。
「9回のマウンドに上がる時からすごい歓声だったので、気持ちよく投げられた」
―6回に四球を出した後にすぐ切り替えられた。
「走者を出す前から、平井投手コーチに走者を出してクイック(モーション)に変わった時に、しっかり意識するように言われていた。平井投手コーチのアドバイス通りでよかった」
―記録ずくめの達成。
「本当にうれしいし、もっともっと頑張って四球を出さないように、高みを目指して頑張る」
【記録メモ】
▼…オリックス・山本由伸投手(25)は9日、対ロッテ19回戦(ZOZO)で、ノーヒットノーランを達成した。8月18日対西武戦の石川柊太(ソ)以来プロ野球100度目(88人)。パ35度目(33人)。山本は昨年6月18日対西武戦でも達成しており2度目。球団では11度目で、2度は初めて。
▼…1人で複数回のノーヒットノーランは、3度の沢村栄治(巨)、外木場義郎(広)、2度が8人で山本が10人目。複数回は3度目だった72年外木場以来51年ぶり。パで複数回は鈴木啓示(近鉄)以来52年ぶり2人目。
▼…2年連続のノーヒットノーランは、36、37年の沢村、40、41年の亀田忠(イーグルス・黒鷲)に次いで82年ぶり3人目。1950年の2リーグ制以降では初めて。
▼…25歳0か月で2度目の達成。2度目の達成の最年少は、40年沢村の20歳3か月。一方、2度目の年長上位は、〈1〉藤本英雄(巨)32歳1か月〈2〉真田重男(神)28歳11か月〈3〉亀田28歳7か月〈4〉山本25歳0か月、山本が4番目。6人は25歳未満で2度目の達成だった。
◆中嶋監督「さすがです。以上」 中嶋監督にとっても会心だったに違いない。試合後の会見は今季最短の28秒。といっても、怒っているわけではなかった。「ナイスゲーム、以上!」。ビシッと決め、満面の笑み。「やっぱり山本由伸、さすがです。以上でございます」とストレートに褒めた。
円熟の域に達している若月とのコンビ。中嶋監督も温かく見守ってきた。試合中に行き詰まることがあれば「緩急も大事だぞ。一生懸命にやりすぎるなよ」と的確に助言。それぞれにではなく、バッテリーごと伝えるのが方法だ。6月には指揮官が体調不良によって離脱。「長期休暇、お疲れさまでした」と復帰直後に冗談を飛ばし、真っ先に出迎えたのが山本だった。
パ・リーグ3連覇を目前とし、エースの快挙によってつかんだ白星。オリックスに安心感がみなぎっている。(オリックス担当・長田 亨)
◆山本 由伸(やまもと・よしのぶ)1998年8月17日、岡山県生まれ。25歳。都城(宮崎)では甲子園出場なし。2016年ドラフト4位でオリックス入団。19年に最優秀防御率、20年に最多奪三振。21、22年に2年連続で最多勝、最優秀防御率、最多奪三振、最高勝率、最多完封の“投手5冠”とパMVP、沢村賞、ベストナイン、ゴールデン・グラブ賞を受賞。21年東京五輪、23年WBCで侍ジャパンの世界一に貢献。178センチ、80キロ。右投右打。
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