◆パ・リーグ　楽天４―５西武（３１日・楽天モバイル）

　スーパームーンに照らされて、きれいな放物線が中堅へ伸びていった。逆転された直後の８回。先頭打者の西武・中村は渡辺翔の投じた初球１４９キロの真ん中高め速球をとらえた。打球はバックスクリーン左の客席へ。直後の勝ち越しを呼び込む同点１３号ソロに「打ててよかったです」と納得の表情で振り返った。

　３０日の同戦は９回に２点をリードしながら、その裏に４点を取られて逆転サヨナラ負け。酸いも甘いも知る２２年目の大ベテランは、しっかりと気持ちを切り替えた。「あまり気にせず、打席に集中しました」。初めて顔を合わせた投手の失投を見逃さずに一振りで仕留め、松井監督も「あそこの一発は大きかった」とたたえた。

　８月１５日に４０歳の誕生日を迎えたが、まだまだ元気だ。今季の出場は多くがＤＨで守備に就くことはないが、試合前の練習ではノックを欠かさずに受けて体調を整える。本塁打数はチームトップで打線を支える。残り２７試合。最下位を脱出して一つでも上にいくためには、まだまだ中村の力が必要になる。「しっかり１試合１試合、頑張っていきたいと思います」。淡々とした口調に決意がにじんでいた。

（秋本　正己）

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