ロッテ、ファームでも浸透する自分で考える意識

ベースボールキング

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2023.7.14(金) 09:19

大谷智久二軍チーフ投手コーチ[撮影=岩下雄太]

 「若手選手たちはまだ自分の特徴を知らない選手がたくさんいて、できもしないことを一生懸命やっている。それで実力を出せていない選手がたくさんいると思うので、自分の特徴を知って活かせるようにして欲しい。そのように、こちらも指導していきたいと思います」。

 ロッテの吉井理人監督は昨年10月18日に行われた監督就任会見で、若手選手に期待すること、求めることについて“自分の特徴を知ること”を挙げた。

 若手投手陣で言えば、取材をしていて自分の特徴、今やるべきこと、考えを口にできる選手が多くなったように感じる。

 6月10日の広島戦で今季一軍初先発し5回2失点に抑え、現在は再びファームで昇格を目指し腕を振る本前郁也は、「ゲームの中ではもっと自信の持てる真っ直ぐ。長所を伸ばして分かっていても打たれたない真っ直ぐを投げられるようにというのは思っていますし、変化球はしっかりカウント、空振りを取れる精度を高めていかないとダメだなと思っています。そこの2点は意識してやっています」と、課題を冷静に自己分析。

 今季から育成選手となった古谷拓郎も「自分の持ち味というか、そこの方向性を間違わないように。自分の武器を確立して結果を出して抑えられたら」と話し、自分の武器について「スピード勝負というよりかは、自分の持っている変化球のバランスで、的を絞らせないというか、そういうピッチングができてくれば真っ直ぐも球速以上に刺されてくれると思います。いろんなボールでしっかりカウントが取れて、全部が決め球になるというのが一番自分の中で一番良い形。まだそこまでできていないんですけど、そういうピッチングができたらなと思います」と語った。

 大谷智久二軍チーフ投手コーチは「吉井監督になられて、その辺りを自分で考える、自分を知ることによってマウンド上で自分で修正して、自分でパフォーマンスを発揮できるというところなので、そういうのが根付いてきているのかなと。期間はそんなに長くないですけど、選手たちには常にテーマを持ってやってもらうように話はしています」と話した。

 育成2年目の田中楓基は「まっすぐが、しっかりラインとかも強さが出てこないと変化球が生きてこない意識の中でやっています。頑張ってまっすぐで勝負できるようにという意識でやっていました」とプロの世界で戦うためにストレートの力強さが重要だと考え、ストレートをテーマに置いて取り組んでいる。

 選手とコーチの意見をすり合わせしながら、テーマを持って取り組んでいるのだろうかーー。

 「もちろんそうですね、ヒアリングをして“今日の試合はどういうテーマで行くのか”、全体としてもテンポアップだったり、よりストライク先行、早い段階で自分の球をどんどん投げ込んでいくというところは全体としてテーマもあります。田中楓基にしても一番の持ち味はストレートなので、そこを鍛えよう、長所を伸ばして本人は自覚しているので、そう言った形が浸透しているのはいい傾向かなと思いますね」(大谷コーチ)。

 選手が自分自身で成長していくためには何が必要で、今何をやらなければいけないかを考え、それをコーチ陣がサポートしていく。主体的に考えられる選手が一人でも増え、一軍で活躍する選手が多く出ることを期待したい。

取材・文=岩下雄太

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