◆パ・リーグ　西武１－４オリックス（２６日・ベルーナＤ）

　杉本の、杉本による豪快な“ただいま弾”だった。「打った瞬間、ホームランになると思いました」と確信アリの一撃は３回無死だ。１ストライクからの高めの釣り球。松本の直球をバックスクリーンへ運んだ。復帰初打席でリーグ単独トップの先制９号ソロ。「みなさん、ただいま！」とファンへの言葉も添えた。

　２日のソフトバンク戦（ペイペイＤ）で左ふくらはぎを痛めた。軽度筋損傷と診断され、４日に出場選手登録を抹消されたが、翌日にはティー打撃を行っていた。「一日でも早くチームに戻りたい」。右ふくらはぎを肉離れし、松葉づえをついた３年前。先が見通せなかった当時を思い返した。今回の離脱中には徳島でも治療。生まれ故郷のおいしい空気も吸い、前を向くことができた。

　復帰は、走攻守いずれも万全の状態に戻すことが条件だった。ファームでは外野守備もクリアし、２５日に１軍合流。再登録されたこの日の朝、自主トレ仲間でもある先発・山岡には「ホームラン打ったるから」と約束した。５回の左翼線二塁打では力強いランニングも披露。「１軍の舞台で打って声援をもらえるというのは気持ちいいですね」と実感を込めた。

　チームは４連敗からの４連勝で首位・ロッテと１・５ゲーム差とした。「気楽なところで行かないと、またすぐヘコんじゃうから」と７番起用で親心を見せた中嶋監督は「いい流れを持ってきてくれた」と特大アーチを喜んだ。「みんな野球がうまいので負けないように。僕も打っていかないと、試合に出られないので」。文句なしの帰還を果たしたラオウですら、真顔で言う危機感。王者に再進撃の予感だ。（長田　亨）

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