2019年10月に「セーフティーバントの構えだけでもやってみろ!」の助言から本格練習 ロッテ・和田、一軍の公式戦で初めて決めた!

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2023.5.14(日) 17:57

育成選手時代からセーフティーバントの練習を繰り返してきたロッテの和田康士朗(写真は2020年春季キャンプ)

◆ 公式戦で初めてセーフティーバントを決める

 ロッテの和田康士朗が14日の日本ハム戦で、一軍の公式戦では初めてセーフティーバント安打を決めた。

 和田は0-2の3回一死走者なしの第1打席、メネズが1ボール1ストライクから投じた3球目の外角ストレートを一塁方向へセーフティーバント。日本ハムの一塁手・マルティネスが素早く捕球し、一塁ベースカバーに入ったセカンド・福田光輝に送球したが、和田の足の方が速く一塁への内野安打となった。過去に20年3月14日に行われた中日とのオープン戦でセーフティーバントを決めたことがあったが、公式戦では一度も成功させたことがなかった。

 和田は続く友杉篤輝の3球目に二塁盗塁を決めると、藤原恭大の二塁への内野安打の間に生還。チームも和田の内野安打をきっかけに3点を奪い逆転に成功した。


◆ 育成時代から磨いてきた

 和田は育成選手時代の19年の10月に「堀さんには、足も武器だと言われているので、セーフティーバントの構えだけでもやってみろと言われています」と、堀幸一二軍打撃コーチの助言をきっかけに、セーフティーバントの練習を本格的に取り組み始めた。

 「試合で使ってみないとわからないけど、フェニックスで1回やって、ピッチャー前にいってしまい失敗しました。ピッチャー前にいくというよりかは、ファウルでもいいのでギリギリを狙っていくというのを意識してやっています」。

 同年10月に行われたフェニックスリーグでの反省を活かし、20年シーズンに向けた自主トレでは「このオフは練習しておけと、いろいろなコーチから言われている。それが使えることによって幅も広がってくると思う。練習はしています」と、徹底的に磨き、20年の春季キャンプでも全体練習後に室内練習場で黙々とセーフティーバントの練習を繰り返した。

 同年3月14日の中日とのオープン戦では、左腕・橋本侑樹投手が1ボール1ストライクから投じた3球目の外角ストレートを、三塁線に絶妙なセーフティーを決めた。同年6月に足を武器にアピールし、支配下選手登録を勝ち取った。しかし、シーズン中は一軍の公式戦で何度かセーフティーバントにトライするも、ファウルになり1本も成功することができなかった。

それでも、ZOZOマリンスタジアムで行われる試合前の打撃練習後に、バントマシンを相手にセーフティーバントの練習を行う姿があった。

 21年8月の取材では「足に自信があるからこそ、やることだと思うので、そこはしっかりやっていきたいですね」と話し、「セーフティーをしてピッチャー前になるというよりは、ファウルでもいいのかなと思っています。自分が生き残るセーフティーのときはギリギリを狙ってというのを意識してやっています」と、セーフティバントの練習をはじめた2019年の10月から変わらない考え方で、公式戦で成功させるために練習を積み重ねてきた。

 今年に入ってからはファームでセーフティバントを試みる回数が増え、失敗はあったが、バント安打を5度決めている。現在は「急がないことですかね。はやくセーフになりたくて、走りながらバントをやってしまうというのがあるので、急がず転がしてから走ること」を意識。「構えてから十分セーフになると言ってくれて、少しずつ感覚は掴めるようになってきました」と本人も手応えを掴みつつあった中で、一軍の公式戦の舞台で初めてセーフティーバントを成功させた。

 何気ない“1本”の安打だが、俊足をいかした和田がプロの舞台で生き抜くために磨いてきた技術がつまった価値のある1本だ。

取材・文=岩下雄太

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