◆パ・リーグ　日本ハム２―０ロッテ（２０日・エスコンフィールド）

　勝利の瞬間を見届けると、日本ハム・新庄剛志監督（５１）はベンチでコーチ陣とグータッチを交わした。笑顔で戻ってくるナインを、穏やかな笑みとハイタッチで迎える。スタンドの歓声に手を振りながら、勝利の演出を楽しむ選手たちを残しベンチ裏に引き揚げた。「鈴木くんをはじめ、選手たちに聞いてあげて！」。エスコン９試合目で初の完封リレー。連敗を４で止めた選手たちに主役をゆだねた。

　秘蔵っ子が流れをつくった。昨季、サイドからアンダースローへの転向へ導いた鈴木が、救援登板から中３日で今季初先発。建山投手コーチが「５回で代えようかと思ってたんですけど、監督がもう１回行こうということで行ってもらった」と明かしたように、６回まで１安打無失点と期待に応える完璧なピッチング。勝ちパターンにつなぎ、犠飛で挙げた２点のリードを最後まで守り切った。

　初めての“挫折”を抱える指揮官に勇気をもたらす１勝だった。試合前、「今まで、計画を立ててほぼほぼうまくいく人生。キャンプから、まあ去年からですけど、計画を立てて…。人生で初めてじゃないかな。あれ？　狂ってる。初めての経験だから、楽しさもあるし悔しさもあるし、どうやってこの経験をね、もっていこうかって。すごい考えている」と語っていた。先発陣はポンセに加え、ルーキー金村も離脱。小村球団社長と話し込む場面もあり「お金を出してって。お願いしますって。６番バッターと先発ピッチャーが、１人ずついてくれたら」と緊急補強にも言及する厳しい状況だ。優勝だけを目指すと宣言して臨むシーズン。苦しい本音を吐露した指揮官は、流れを変えうる白星を手にした。（山口　泰史）

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