◆パ・リーグ　オリックス１―５楽天（１８日・京セラドーム大阪）

　試合を締めた松井裕からウィニングボールを手渡された伊藤茉は、満面の笑みを浮かべ「若干、（ボールが）重く感じました」とプロ初白星の味をかみ締めた。

　ドラフト４位右腕は０―１の７回に登板。直球よりも速い１４８キロの高速シンカーを武器に打者３人を６球斬り。８回に浅村の逆転２ランを呼び込んだ。

　２歳上の兄・爽さんの影響で小３で地元の野球チームに入った。６歳でキッズファンクラブに入会するほど幼少期から生粋の楽天党。福島・喜多方市から仙台まで父・博之さん（５３）の運転する車で片道２時間半かけて本拠地観戦に何度も通った。憧れの田中将大の１８番のユニホームを着てスタンドで目を輝かせていた少年が夢をかなえた。記念球は両親に贈る。

　もともとは上手投げだったが、喜多方高２年の秋に右肘を痛めたことから栗城一郎監督の勧めで横手投げに転向した。“平成の大エース”の異名を取った元巨人・斎藤雅樹氏のフォームを参考に改良を重ねて現在地にたどり着いた。チームでは唯一のサイドスローは「勝ちパターンでしっかり投げたい。安定した投手になりたい」と決意表明。開幕から苦境が続くチームに新星が誕生した。（長井　毅）

　◆伊藤　茉央（いとう・まお）２０００年１１月１９日、福島・喜多方市生まれ。２２歳。塩川ブルーファイヤーズで野球を始める。塩川中では軟式野球部。喜多方高から東農大北海道を経て２２年ドラフト４位で楽天に入団。右投左打。１７６センチ、８０キロ。年俸８２０万円。

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