日本ハムの新本拠地「エスコンフィールド北海道」が開業した。新球場を核とした約３２ヘクタールの広大な敷地からなる「Ｆビレッジ」は、まさに「世界がまだ見ぬボールパーク」。新球場元年に向け、既成概念にとらわれない数々のイベントが仕掛けられていることが明らかになった。１４、１５日には新球場こけら落としとなるオープン戦を実施。２試合を終えての印象をチームやファンに聞いた。（堀内啓太）

　節目の年を彩る仰天プランが続々と企画され始めている。

　一、三塁側の各スタンド上に２台設置された高さ１６メートル、横幅８６メートルの世界最大級の大型ビジョンを活用し、試合のない日に映画を上映する計画が練られている。ファイターズスポーツ＆エンターテイメント（以下ＦＳＥ）事業企画部の酒井恭佑企画グループ長は「ふらっと立ち寄れる場所にしたい。球場内にはクラフトビール醸造所もある。出来立てを片手に映画を楽しんでいただけたら」と声を弾ませた。

　１年間を「５季」に分け、観光客も巻き込んだシーズナルイベントも行う。春は醸造所を生かした「ビアフェス」、夏は祭りや盆踊り、３日間集中の子ども向けワークショップ、秋はスポーツフェスティバルを実施予定。寒冷地の北海道らしく冬は２季に分け、１１～１２月は壮大なイルミネーション、１～３月は体験型に特化した雪祭りを検討している。酒井氏は「毎週末の土日に数千人、数百人と規模を変えてイベントを打ち、皆様の日常に組み込まれる形になれば」と計画を明かした。

　エスコンでは今季７１試合を開催予定。新たに入場券制度も導入され、座席未購入でも３６０度回遊型コンコースから自由に観戦が可能となった。イベント目当てでＦビレッジを訪れた人を球場へ、野球ファンをイベントへと、相互送客も思い描く。また、開幕２日前の２８日に行われる「Ｆビレッジ　スターティングライブ」を皮切りに、音楽のライブイベントも提供する予定。Ｆビレッジは３６５日、休むことはない。

　〇・・・総工費約６００億円の新球場に初めて観客が入り、生の声が届いた。

　◇観戦　ファン歴２０年の５０代男性は「とにかくグラウンドまでが近い。スライディングの音が聞こえたのは初めて。階段も緩やかで助かった」。２０代女性は「開放感がすごすぎる。座席の座り心地もいい」。一方で球場内が寒いという声も複数あがり、６０代女性は「薄着で来たら失敗した」と苦笑い。その声を受け、完成済みの空調システムを用いて既に可能な限りの改善に動いている。

　◇アクセス　主な手段はＪＲ、シャトルバス、自動車の３つ。男子大学生３人組は最寄りの北広島駅から徒歩（約２０分）で来場し「想像以上に遠くて、坂もキツかった…」。北広島、新札幌、野幌の３駅、新千歳空港からはシャトルバスを運行して対応。最寄駅からは試合開始３時間前から約４分おきに順次運行する。

　◇グラウンド　実戦を踏まえ、新庄監督や選手から天然芝の長さや照明の位置、温度管理等の要望が届いた。ボールパークプロジェクトの中心を担うＦＳＥファシリティクリエーション部の小川太郎部長は、課題をリストアップした上で「今のタイミングで開幕に合わせて芝を短く切りすぎてしまうと、その後の生育上難しさが出る。ただ大義は選手のプレー環境の最大化なので順次対応していく」。既に調整は始まっており、検証を重ねて最適解を探る。

　同氏は「いよいよ始まるなと。開業してからが勝負。最初から１００点は取れないと自覚した上で、必ず良いものにするとコミットし、課題にタックルし続けていきたい」と選手、観客への熱い思いを口にした。

　〇・・・日本ハムは１６日、３０日の開幕戦（午後６時３０分、エスコン）に向けて初のナイター練習を実施。これまでの実戦とは異なる環境の下、約２時間汗を流した。前日１５日の西武戦でサヨナラ打を放った江越は、外野で照明を念入りに確認。前日の７０％からナイター仕様の１０％増の明るさでノックを受け「僕は好きでした。（打球が）見やすかった」と好印象を口にした。一方で五十幡は「左中間、右中間の打球が相当まぶしかった」。外野陣に声をかけていた森本外野守備走塁コーチは「今後微調整しながらやっていくと思う」と話した

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