「イニングを投げるのが自分の仕事」。少ない球数で長いイニングを投げるロッテ・美馬学の凄さ

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2023.2.18(土) 09:07

ロッテ・美馬学(撮影=岩下雄太)

◆ 「イニングを投げるのが自分の仕事」

 ロッテの美馬学は昨季チームトップの10勝を挙げ、FA移籍後3年間で通算26勝を挙げる。今やロッテ先発陣に欠かせない存在だ。

 美馬の凄さは、ゲームメイク力にある。2月11日に行った取材で本人は「イニングを投げるというのが自分の仕事だと思っています。代わってしまったら終わりだと思うので、なんとか後ろのピッチャーにも迷惑をかけないように長く投げられるようには常にやっています」と、ゲームメイク力の高さの裏に“1イニングでも長く投げよう”という心構えがあった。

 移籍1年目の20年6月26日のオリックス戦、移籍後初めてZOZOマリンスタジアムでの公式戦先発となったこの日、初回に3点を失い、2回、3回も走者を背負う苦しい投球も、4回以降はリズムよく打たせてとるピッチングで、終わってみれば7回を7安打3失点に抑えた。19年までロッテ先発陣は、当時若手が多く、早いイニングで失点したあと、試合を立て直すことができる投手が少なかった。それだけに、この日の登板の投球を見て、さすがのゲームメイク力だったというのを今でも記憶している。その後の登板でも、どこかのイニングで失点しても大きく崩れることなく、試合をしっかり作るところに凄さを感じた。


◆ 少ない球数で長いイニング

 そして、長いイニングを投げて試合を作るだけでなく、少ない球数で6回、7回まで投げるのも美馬の魅力のひとつだ。

 昨季は20試合に先発して6イニング以上投げた試合は12試合あったが、そのうち半分以上の7試合が100球以内で交代している。7回途中降雨コールドも移籍後初完封勝利を挙げた昨年8月16日のオリックス戦は、序盤から球数少なくリズムの良い投球で、バックも好守備を連発。5回を終えた時点で54球という省エネピッチング。最終的に6回1/3を投げて、83球で完封勝利を飾った。

 少ない球数で長いイニングを投げることも意識しているのだろうかーー。

 「やっぱり、年齢のこともあるのか球数で見られることもあるので、球数を少なくして長いイニングを投げられるようにと思ってやっています」。

 意識して少ない球数で長いイニングを投げられるように心がけているのだ。少ない球数で抑えようとして球が甘く入ったり、投げ急ぐことなく、しっかり抑えられるのが、美馬が持つ技術力の高さといえるだろう。

▼ 8月16日オリックス戦のイニング別投球数
<イニング別投球数>
1回:14球 / 14球
2回:11球 / 25球
3回:10球 / 35球
4回:12球 / 47球
5回:7球 / 54球
6回:18球 / 72球
7回:11球 / 83球

 今季も先発ローテーションの一角として期待されるベテラン右腕。「去年も一昨年も1年間しっかり投げられていないので、しっかり1年間投げてローテーションを守って規定投球回は投げたいと思います」。移籍1年目の20年以来となる3年ぶりの規定投球回到達を目指し、チームのために今季も腕を振る。

取材・文=岩下雄太

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