【30人の侍】西武・山川穂高、初のWBCでも貫く「本塁打は狙って打つ、一番いいスイングを」

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2023.2.7(火) 06:00

キャンプ初日から打ち込んだ山川(カメラ・小泉 洋樹)

 WBC日本代表を取り上げる「30人の侍」の第6回は西武・山川穂高内野手(31)。6日、宮崎・南郷キャンプをスタートさせた本塁打王3度のスラッガーは、大舞台でも打撃の基本は本塁打と宣言。一方で、し烈なレギュラー争いも覚悟。たとえ代打起用だとしても「与えられたところでやる。それしかない」と、フォア・ザ・チームに徹して世界一を目指す。(取材・構成=秋本 正己)

 振って振って振りまくった。例年より5日遅れのキャンプイン。最後に球場を後にしたのは山川だった。通常メニューのフリー打撃に加え、個別強化。さらに西川と残ってマシンに向かった。雨のため室内での打撃練習となったが、初日からトータル8時間を超えた。

 「感覚はいいと思います。外で打ってみてというのはありますけど、無事にキャンプインできたのは素直にうれしい」

 WBCでは1点が試合の流れを大きく変える。長距離砲も展開によっては単打、犠飛を求められることがあるだろう。野球を始めた頃から夢見ていた初の大舞台でも山川はぶれない。

 「本塁打は狙って打つもの。それは変わりません。野球って、一番いいスイングをして、一番いい当たり方をしたら本塁打になるんです。一番いい当たり方をして右前打というのはない。来た球がバットの芯付近で一番きれいに当たった時って、バックスクリーンへの本塁打になるんです。『安打狙いでいく方がミートしやすいから結果的に本塁打になりやすい』と言う人もいますが、僕はミートが先に入ると打球が上がらない。芯のどこでもいいから強く振った方が本塁打になる」

 準決勝で対戦の可能性がある米国代表のエンゼルス・トラウトも、まさに山川が理想とする打ち方をしていると、目を輝かせ語り始めた。対戦が実現すれば、山川にとっても大きな財産となる可能性がある。

 「あれだけの数字を残すということは、素晴らしい打ち方をしているから。参考にできるか、正直分かりませんが、あの出力、小さい動きで球を遠くに飛ばす。僕が言っているセンター返し。本塁打集を見たら、ほとんどセンターですよ」

 理想のアーチへ準備は怠らない。バットを振り抜きやすくしようと、ヤクルト・村上モデルを参考に先端部をくりぬき、重さを昨季までの920グラムから15グラムほど軽くした。フォームも構えた時、これまで以上に右の股関節に体重が乗るように意識。照準は3月9日、初戦の中国戦だ。

 「最大のライバルは中国。(準決勝の)米国にフォーカスしたら絶対、足をすくわれる。中国戦で出し切る、絶対勝つ。あしたどうなっているか誰も予想してないわけで、それこそ1か月後なんてどうなっているかさっぱり分からない。だから今をしっかり生きる。代表ではより、そうですよ」

 本職の一塁は巨人・岡本和、ヤクルト・村上、山田、DeNAの牧もこなせる。トップクラスの打者がそろう中、たとえ代打でも結果を残す覚悟だ。あくまでフォア・ザ・チームに徹する。

 「当然、出たいです。ただ、チームのレギュラー争いとは違うと思っていて、全てにおいてバランスじゃないですか。例えば(山田)哲人が一塁で出ても、『クソっ』ってそんなに思わない。じゃあ、代打に徹しようと思います。与えられたところで全力でやる。それしかない」

 山川が好きな動画の中に、2009年大会決勝でイチローが放ったV打のシーンがある。今度は山川がヒーローになって、少年少女の目標に―。その問いに首を振った。

 「理想はそうですけれど、絶対うまくいくはずがないんです。だから、今できることをやる。イメージしても、その通りにいくことなんかほとんどなかった。だから今頑張るしかない。コツコツ頑張ります」

 ◆山川 穂高(やまかわ・ほたか)1991年11月23日、沖縄県生まれ。31歳。中部商から富士大に進み、2013年ドラフト2位で西武入り。18年、19年と連続して本塁打王に輝くと、昨年は本塁打王、初の打点王と2冠を獲得した。通算769試合で打率2割5分6厘、218本塁打、570打点。176センチ、103キロ。右投右打。今季年俸は2億7000万円。

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