オリックス・山岡泰輔が球界大トリ更改 「その意識は強い」3年ぶりの開幕投手に意欲

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2023.1.26(木) 05:04

3年ぶりの開幕投手に意欲をみせた山岡泰輔 [写真=北野正樹]

◆ 「チームに迷惑をかけた」

 オリックスの山岡泰輔投手(27)が25日、契約更改交渉に臨み、現状維持の7200万円(金額は推定)でサインした。


 「サインしました。来年も頑張れるような契約をしてもらいました」。約20分の交渉を終え、記者会見に臨んだ山岡は静かに口を開いた。

 6年目の昨季は6勝8敗。「前半戦はよかったが、後半はコロナに感染して調子が悪くなり、チームに迷惑をかけた」と振り返る。

 それでも、3年ぶりの20試合超えとなる22試合に登板し、防御率は2.60。リーグ2連覇と26年ぶりの日本一に貢献したところが評価された。


◆ 球団に要望したこと

 昨年の更改も1月26日。広島県内での自主トレと、代理人のスケジュールの関係でずれ込んだもの。その自主トレでテーマとしたのが「ストレートの質の向上」だ。

 「真っ直ぐがよくないと、他の変化球も生きてこない。ずっと課題にしてきており、その部分を頭に入れ確認しながらやって来た」といい、「昨年はカーブがよかったので、カーブを使いながら直球をどう早く見せるか」と具体的な配球にも言及する。


 交渉の中で福良淳一GMに伝えたのは、遠征先でのトレーニング方法だった。

 「基本的に、遠征先では宿泊するホテル内でのトレーニングになる。みんなが使うと順番を待たなくてはいけないこともあるし、器具がない宿舎もある。少し外に出てジムを利用出来れば選手としてはうれしい」

 キャンプ地に私物のボックスジャンプやパルクールの器具を共用の器具として持ち込むほど、普段から器具を使ったトレーニングの重要性を知るからこその提言。これには福良GMも「コロナの状況に応じて」と前向きに検討することを約束した。


 一方、GMからは「優勝を伝統にしていきたい。チームをずっと引っ張ってほしい」との要望があった。

 「うちは若い選手が多く、山岡が引っ張って中心になってもらわないと(優勝も)見えてこない」という福良GMは、ドラフト1位指名された当時の監督。指名挨拶のスカウトを通じて「チームを変えてほしい」という言葉をもらい、意気に感じて腕を振って来た経緯がある。

 「日本一の経験は、あの場面でしか出来ない。今年もその場所で投げたいという思いがあり、そこを目指す。体調管理をしながら今年はもっともっと、勝っていきたい。先発として2ケタ勝利と規定投球回数は最低限クリアしたい」と、声を弾ませた。


◆ 大役は「どんな状況でも狙っている」

 3月にWBCが開催される今シーズン。オリックスの先発陣からは山本由伸と宮城大弥の参戦が予定されるため、チームとして早めに決定することが出来ないのが“開幕投手”の大役だ。

 「そこはどんな状況でも狙っているし、2人がどんな状況で帰ってくるのか分からないので、そこを任されるのであれば準備をしたい」と、右腕は3年ぶり3度目の開幕投手にも意欲を示す。


 開幕は2019・2020年に山岡が、2021・2022年は山本が務め、昨年は山本が敵地での西武戦で8回無失点の好投。12年ぶりの開幕勝利を挙げ、チームの開幕戦連敗も10でストップさせた。

 「特別ですね。気持ちも違うし、勝ってその1年間の流れをつかみたい。気合が入ると思う」

 右肘の手術明けだった昨季は、この時期も先発か中継ぎかの起用方法が定まっていなかった。しかし、今季は体調も万全で、開幕に向けた準備をしていける。

 「その意識は強い」。心技体が充実した山岡の7年目が楽しみでしかない。

 
取材・文=北野正樹(きたの・まさき)

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