チャンスを作り続けたロッテの“1、2番コンビ”

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2022.11.12(土) 11:07

7月21日の西武戦で髙部がサヨナラ打を放ち抱き合って喜ぶ髙部と荻野 (C) Kyodo News

 ロッテの得点源といえばレアード、マーティンの長打にかかる比重が大きかったなかで、今季は不振に陥りなかなか得点に結びつかなかった。その中で、1番・荻野貴司、2番・髙部瑛斗はチャンスを作り続けた。

 荻野は出遅れたが5月27日に今季初昇格を果たすと、昇格直後は2番や7番を打っていたが、6月12日のDeNA戦以降は慣れ親しんだ1番を打った。荻野は「まずは自分のスイングをすること、追い込まれたらしっかり粘って出塁することを意識しています」とトップバッターとしての心構えを明かす。今季は1番打者として出場した試合に限ると、73試合で打率.315、5本塁打、22打点の成績を残した。

 荻野が開幕を出遅れ、オープン戦で12球団トップの打率をマークした髙部が「消極的にならずに、試合の流れを最初に掴む場所。積極的にいってどうにか流れをもっていきたいなという気持ちで毎試合入っています」と1番を任された。荻野が復帰してからもしばらくは1番を打っていたが、6月18日の日本ハム戦以降は、1番・荻野、2番・髙部という打順が基本形になった。


◆ 最強の1、2番コンビ

 2人の共通する持ち味といえば“スピード”。荻野、髙部の“1、2番コンビ”は出塁して相手投手にプレッシャーを与え、そしてチャンスを広げた。

 1、2番コンビを組み始めたばかりの6月19日の日本ハム戦では、0-0の初回、トップバッターの荻野が二塁打、2番・髙部のセーフティバントを投手と捕手がお見合いし内野安打となって一、三塁とすると、3番・中村奨吾の打席中に髙部が二塁盗塁。無死二、三塁となり、中村の右飛で三塁走者の荻野が先制のホームを踏み、送球間に二塁走者の髙部は三塁へ。髙部は続く山口航輝のセンター前への安打で生還した。2人の出塁、そして足が活きた得点だった。

 また、1本の安打、相手の隙やミスを見逃さず、2人で1点を奪うこともあった。7月20日の西武戦では0-0の初回、1番・荻野がショート・山田遥楓(現日本ハム)の悪送球で出塁すると、続く2番・髙部の打席中に二盗で得点圏に進み、髙部の左中間を破る安打でホームイン。

 同日の西武戦では1-2の3回も先頭の荻野がレフト前に安打を放つと、続く髙部が三塁へセーフティバント。一塁走者の荻野は西武守備陣が三塁のベースカバーに誰も入っていないのを見て三塁を狙う。慌てて西武の一塁手・山川穂高が三塁へ送球するもこれが悪送球となり、その間に荻野はホームに還ってきた。

 9月12日の日本ハム戦では、0-0の初回、先頭の荻野は先発・加藤貴之が投じたスライダーをライトへ放つと、ライトが後ろに逸らす間に俊足を飛ばして一気に三塁を陥れ(記録は三塁打)、続く髙部のセンター前への安打で先制のホームを踏んだ。

 荻野、髙部は12球団を見渡しても、屈指の“1、2番コンビ”だろう。シーズン最終盤は井上晴哉、中村奨吾、安田尚憲、山口航輝がポイントゲッターとなり得点するケースは増えたが、シーズン通して見れば、1、2番が出塁しても後が続かないことが多かった。来季はクリーンナップがポイントゲッターとしての役割を果たせば、今季以上に荻野、髙部の存在は際立つはずだ。

文=岩下雄太

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