【オリックス】救援陣の踏ん張りで初勝利…中嶋監督「三振を取りにいける投手」宇田川優希起用で危機脱した

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2022.10.27(木) 05:15

6回2死二、三塁、中村悠平を空振り三振に仕留めた宇田川優希は捕手・若月健矢とベンチに戻る(カメラ・石田 順平)

◆SMBC日本シリーズ2022 第4戦 オリックス1―0ヤクルト(26日・京セラD)

 「SMBC 日本シリーズ2022」第4戦は、オリックスが4投手による完封リレーで今シリーズ初勝利を挙げ、対戦成績を1勝2敗1分けとした。中嶋聡監督(53)の継投策がズバリ的中。2番手・宇田川優希投手(23)は5回、6回の危機をいずれも切り抜け、自身のシリーズ1勝目を挙げた。打っては杉本裕太郎外野手(31)が3回に左前へ先制適時打を放ち、決勝点に。26年ぶりの日本一へ、昨季王者・ヤクルトへのリベンジ劇が始まった。

 中嶋監督が大きく息をついた。ヤクルトに一矢を報い、1勝2敗1分け。「それがすべてやね…」と救援陣の踏ん張りが勝因だ。日本シリーズでの1―0完封勝利は球団史上初で、2014年第5戦のソフトバンク以来。「何とか0で帰ってきてくれたのが、本当にありがたかったです」と素直に感謝した。

 1点リードの5回が分岐点になった。先発・山岡が1死から塩見に三塁打を許した場面だ。「三振を取りにいける投手。そこの選択肢しかなかった」と迷わず宇田川を送り、剛腕も応えた。山崎を空振り三振で2死。第3戦で決勝3ランを浴びた山田からも、フォークで見逃し三振を奪った。

 20年の育成ドラフト3位で入団。球団は仙台大3年時から追いかけていた。容易に150キロを超す直球とフォーク、ブレーキの利いたカーブで魅了。2月のキャンプでも支配下選手の候補に挙がった。ファームで鍛錬を積み、期限ギリギリだった7月28日に支配下登録された。中垣巡回ヘッドコーチも「あの球威、一度見てください」と、そっと推薦してくれていた。日本ハム時代のダルビッシュや大谷が信頼を寄せた人物が、成長を下支えしてくれた。

 イニングまたぎとなった6回も1死一、三塁のピンチからサンタナ、中村を連続三振。「本当に自分の投球。それだけですね。最後は自分の投球を貫き通すことができた」。8月21日の西武戦(ベルーナD)から丸2か月、17試合連続無失点だ。育成ドラフト出身の投手が、シリーズで勝利投手になるのは史上6人目と、最後に快挙まで待っていた。

 勝利へのバトンを落とさなかったのは山崎颯も同じだ。7回からの2イニングをパーフェクトリリーフ。CS最終ステージで球団最速の160キロをたたき出した男は「自分も負けない投球をしようと思った」と胸を張った。宇田川、エースの山本と同じ98年生まれ。8回1死では159キロで力勝ちし、4番・村上を左飛に仕留めた。

 シーズンは6勝にとどまり、中嶋監督が「いいとこ取りをしてこいよ」と背中を押した山岡も粘った。この日の最後は、第2戦の9回に同点3ランを許した阿部ではなく、ワゲスパックに任せたが「(阿部も)ありますよ。平野佳だろうと。全然、気にせず出します」とブルペンの全員を大切な戦力とした。第5戦へ「本拠地で最後の試合になる。勝って(勝敗を)タイにしたい」。信頼し、決断して、もぎとった1勝。一丸で挑む逆転日本一へ、力水になった。(長田 亨)

 ◆宇田川優希(うだがわ・ゆうき)プロフィル

▼出身、球歴 1998年11月10日、埼玉県生まれ。23歳。八潮南高では甲子園出場なし。仙台大を経て、2020年育成ドラフト3位でオリックス入団

▼恵まれた体格 父が日本人、母はフィリピン人。184センチ、92キロの恵まれた体格を授かった。兄弟は兄2人と妹、弟

▼金言 育成指名でオリックス入団を迷った際に、八潮南高時代の恩師・斉藤繁氏から「お前はいつでも挑戦者だ。挑戦してこい」と背中を押されてプロ入りを決断

▼コロナ禍で筋力強化 仙台大4年だった20年春にコロナ禍で野球部が活動休止となったが、実家に帰らずウェートトレ、スクワット、1時間半の走り込み。平均球速が5キロアップ

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