みやざきフェニックス・リーグ参戦中の楽天・黒川史陽内野手（２１）と武藤敦貴外野手（２１）が、インタビューに応じた。ともに高卒３年目の２１歳。今季見えた課題に取り組み、来季は開幕から定位置争いに加わることを誓った。（取材・構成　長井　毅）

　石井監督も「来年は何とか出てきてほしい」と期待する若手コンビが、まずは今季を振り返った。

　黒川は、昨オフに立てた「１軍で３００打席」の目標はクリアできなかった。１７試合で７１打席しか立てず、打率２割２分２厘、０本塁打、２打点に終わった。

　黒川（以下、黒）「今年の目標は達成できなかったのは悔しいですし、７１打席の中で何かを残せたかというのも（特別）ない。悔しい気持ちでいるので来年は勝負の気持ちで臨みたい」

　一方の武藤は４３試合のうち２１試合に先発し、打率２割５分、１本塁打、９打点をマークするなど飛躍の足掛かりを築けた。

　武藤（以下、武）「先発の機会が去年よりも多くて、打撃でも走塁でもいろんな経験ができた。初スタメンの日（５月１１日のロッテ戦・楽天生命）に２安打打てたことが印象に残っていて、いいスタートが切れた」

　重圧のかかる１軍の舞台では課題にも直面した。

　黒「ヒットを打たないと次の試合に出られない状況だったので、１日１本をテーマにやっていたけど、目先の結果にとらわれ過ぎていた。『そういうのは良くないよ』と石井監督からも言われました。次に１軍に上がった時は最後まで２軍に戻ってこないくらい、自分の形を確立できるようにと思って２軍ではやっていました」

　この言葉通り、２軍では９４試合で打率２割６分２厘、６本塁打、５０打点。二塁打２０本はチーム最多と長打力にも成長が見られた。

　黒「１年間試合に出続けることができた。ベンチで試合を見ることがなかったので、体は強くなったなと思います」

　黒川が年間を通じてプレーし続ける体力を身につけたように、武藤は課題だった打撃に磨きがかかってきた。７月２３日の西武戦（ベルーナＤ）では平良からプロ１号を放つなどインパクトも残した。

　武「真っすぐの勢いも強いし、クイックも速い。そういう投手から打てたのは自信になりました。僕は浮いた球を打つことをテーマにしていた。そういうのが１軍でも結果につながった」

　良き友であり、触発し合うライバルでもある。互いの印象を聞いた。

　黒「武藤は結構、ちゃらんぽらんなところもある（笑い）。技術面ではポテンシャルがありますし、同級生ですごいなと思う存在。今年はすごく刺激になりましたし、負けたくない気持ちもあります」

　武「黒川はすごく練習をしていて、誰にも負けてない。僕も必死でついていこうと（笑い）。一緒に打っていても打球がえげつない。振る量も半端ないので、すげえなあと見ています。同級生というのもあるし、（互いに）思いはある。近い将来（自分が）１番、（黒川が）３番を打ってイーグルスをもっと盛り上げていきたい」

　今年培った経験を糧に勝負の４年目を迎える。

　黒「そろそろ僕たちが試合に出てレギュラーを取りたい思いは強い。今年、武藤が１軍で活躍している時期は（自分にとって）悔しい時期でもあった。来年は１軍で結果を残せるように頑張りたい」

　武「目標は開幕１軍。キャリアと実績が豊富な選手が多いですけど、そのなかで僕が若々しさとハツラツとしたプレーで石井監督の目を引くようなプレーをしたい。１試合でも多く試合に出たいです」

　近未来のチームを背負う若ワシたちは南国でユニホームを泥だらけにしながら今日も鍛錬の日々を送っている。

　◆黒川　史陽（くろかわ・ふみや）２００１年４月１７日、奈良県生まれ。２１歳。小学１年から野球を始め、河合一中では泉州阪堺ボーイズに所属。智弁和歌山高では１年夏から５季連続で甲子園に出場し、２年春に準優勝。１９年ドラフト２位で楽天入団。家族は両親と兄と弟。右投左打。１８２センチ、８６キロ。今季年俸７８０万円。

　◆武藤　敦貴（むとう・あつき）２００１年６月１５日、福岡県生まれ。２１歳。小学校４年生から野球を始める。都城東高では、１年秋からエースと４番として活躍。３年から外野手に転向。甲子園出場はなし。１９年ドラフト４位で楽天入団。５０メートル６秒１。左投左打。家族は両親と兄。１７８センチ、７３キロ。今季年俸６６０万円。

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