コーチを無視して「どっかに行きました」…宮城大弥が明かした初完封への執念

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2022.8.28(日) 06:29

投げきって笑顔の宮城大弥と伏見寅威 (C) Kyodo News

◆ 1週間前に味わった悔しさ

 オリックスの高卒3年目左腕・宮城大弥が、27日の西武戦(京セラD大阪)でプロ初完投・初完封を達成。

 今季の勝ち星も「9」に伸ばし、昨年に続く2年連続の2ケタ勝利も見えてきた。




 初完投・初完封のチャンスは、1週間前の西武戦(ベルーナドーム)でもあった。

 この時、宮城は8回を100球、被安打5で無失点という文句のつけようがない内容。最終回も登板すると思われたが、中嶋聡監督は「7回くらいで足をつりかけていた。8回であんな感じ(=無失点も連打と四球でピンチを招く)になったので、やめました」と交代を決断した。

 試合後、宮城は「『お前は(山本)由伸さんじゃないから駄目』と言われて、あと『バテているから駄目』と言われました」と、その時のやり取りを明かしている。
 


 本人は「行きたいです、というのは言っていないですけど、眼差しは。グローブは持って」とアピールを続けていたようだが、「ダメと言われました。体力もあったと思いますし、前回(=8回1失点の8月11日・楽天戦)ゼロだったら行かせると言われたのに……」と願いは叶わず。

 それでも、「今回ゼロだったのに行かせてくれなかったので、どこかで行かせてもらいたいなと思います」と、9回完投に向けた想いを強くしていた。


◆ 「1回で終わらず、何度も」

 こうした“伏線”もあって迎えた27日のマウンド。思えば前日に行われた代表取材でも、「まだ一度もないので、良いところでやりたい。由伸さんとか田嶋(大樹)さんは完封をして、投げ勝った勝利を味わっているので、僕もその一因に加わりたい」と、完投への意欲を口にしていた。

 そして試合中も、8回まで投げ終えてベンチに戻った左腕は、高山郁夫コーチを無視して「どっか行きました」と告白。そんな頑なな意思は水本勝己監督代行の元にも届き、「頷きながら、たぶん『行くぞ』という目をしてくれていたので」と、ベンチに続投を決断させた。

 ついに辿り着いた9回のマウンドは、「緊張もしましたし、鳥肌も立った」と、やはり特別だったという。なかでも印象的だったのが、場内の雰囲気。「9回、マウンドに上がった時の大きな拍手に感動しました」と語ったように、最終回はストライクがコールされる度に大きな拍手が球場を包んでいた。


 「長いイニングを任せられるような投手がエースだと思っていますし、その中で毎週投げられる投手が球団のエース。そこを続けられるように、1回で終わらず何度も投げられるように。体づくりや体調管理もやって、先発陣を盛り上げていきたい」

 大きな仕事をやり遂げた若き左腕は、早くも“次”を見据えている。


 試合後、はじめてマウンド上で味わったハイタッチは「あまりない光景というか、初めてくらいだったので、本当に嬉しかった」という。

 リーグ連覇に向けて、宮城がこの勝負の夏場に入って好調を維持しているというのは、チームにとって好材料。このままの勢いで、シーズン終了まで突き進んでもらいたい。


取材・文=どら増田




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