◆パ・リーグ　楽天７―０日本ハム（３０日・楽天生命パーク）

　勝負どころと踏んでギアを入れた。田中将の１５１キロがうなりを上げる。清宮のバットは空を斬り、ボールは炭谷のミットに収まった。２―０の４回２死一、三塁。一発が出れば逆転の場面で外角いっぱいにこの日最速の直球を投げ込み、ピンチを脱した。「あの場面は大きかった。あの１球で投球フォームがかみ合ったなっていうのがあった。そこからボールがよくなってきました」。この言葉通り徐々に調子は上向いていき、７回までゼロ行進。６勝目を挙げた。

　釣り、競馬、携帯ゲームなど多趣味な背番号１８が最近はまり始めたのが料理。家族に振る舞った「タラコと大葉のパスタ」の味は、まい夫人も大絶賛するほど。エプロン姿の“パスタ職人”からユニホームに戦闘服をかえて、ハム打線を完璧に“料理”した。

　試合前には石井監督が新型コロナ陽性判定を受けた球団職員と接触があったことで、大事を取って自主隔離するという事態に見舞われた。真喜志ヘッドコーチが監督代行を務めて臨んだ一戦。田中将は特別な感情は「別にないです」と己の仕事を果たすことに徹し、つかんだウィニングボールは初采配の真喜志ヘッドに贈った。

　試合後、石井監督の新型コロナ陽性が判明。当面の間は真喜志体制を敷くことになりそうだ。負ければ史上初となる最大貯金１８→０になるという危機も救ったベテランは「絶対に優勝したいですし、チーム一丸となってやっていくだけです」と力強く宣言。前途多難な頂点への道筋を背番号１８が照らしていく。（長井　毅）

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