エースの穴を補って余りある充実の陣容。埼玉西武の強力先発陣の特徴にデータで迫る

パ・リーグ インサイト 望月遼太

埼玉西武・髙橋光成投手、隅田知一郎投手 【写真:球団提供】
埼玉西武・髙橋光成投手、隅田知一郎投手 【写真:球団提供】

多士済々の先発陣は、埼玉西武が見せる快進撃の原動力の一つに

 埼玉西武が球団初の交流戦優勝を果たし、パ・リーグ首位に立つ快進撃を見せている。ネビン選手の故障からの復帰を境に迫力を増した打線。守護神の平良海馬投手が先発に再転向した穴を見事に埋めているブルペン。そして、エースの今井達也投手が抜けた影響を感じさせない先発陣の貢献度の高さが、好成績の大きな要因の一つである。

 今回は、2026年の埼玉西武における先発陣の顔ぶれと、指標に基づく各投手の特徴について紹介。左右のバランスが取れた多士済々の先発陣についてあらためて確認するとともに、今後の各投手のさらなる活躍にも期待を寄せたい。(※記録は2026年6月23日試合前時点)

最優秀防御率射程圏内の2名の右腕に加えて、隅田投手と渡邉投手も好投

 今季の埼玉西武において、一軍における先発登板を経験した投手の顔ぶれは下記の通り。

埼玉西武2026年先発投手陣の各種指標 ※6月23日試合前時点 ©PLM
埼玉西武2026年先発投手陣の各種指標 ※6月23日試合前時点 ©PLM

 高橋光成投手は11試合に先発登板した時点で7勝3敗、防御率1.23と抜群の安定感を示し、6月23日試合前時点で勝利数はリーグ2位タイ、防御率はリーグ2位と好成績を記録。キャリア通算の奪三振率は6.57と決して多くの三振を奪うタイプではないが、今季の奪三振率は7.17と、キャリア平均を上回っている点も注目すべき要素だ。

 それに加えて、与四球率も2.24とキャリア平均の3.12という数字を大きく下回っており、制球力の向上も顕著だ。それに伴い、三振を四球で割って求める「K/BB」も3.20と、一般的に優秀とされる3.50という水準を上回る数字を記録。すでに3度の完投を記録するなど、リーグ4位の投球回を消化しながら優れた投球内容を示している点は特筆ものだ。

 今季から先発に再転向した平良投手は6月23日試合前時点で防御率0.89と、堂々のリーグトップの数字を記録している。WHIPも0.83と高橋光成投手の0.85とそん色ない数字となっており、5勝1敗で勝率.833と高い数字を維持。最多セーブを獲得した昨シーズンとはまた違った役割でチームに多大な貢献を果たし、先発としてのタイトル獲得も射程圏内に捉えている。

 今季の奪三振率は8.37とキャリア平均の9.49という数字に比べるとやや低いが、それでも先発投手としては十分に優秀な水準にある。その一方で、与四球率は3.42とキャリア平均の3.62という数字に比べて改善が見られており、多くの三振を奪いながら大崩れはしないという平良投手の特徴が、今季も大いに発揮されているといえる数字が残っている。

 隅田知一郎投手は6月23日試合前時点で6勝を挙げ、自身初の2桁勝利を記録した昨季に続いて順調に白星を積み上げている。チーム1位の81.1投球回を消化し、防御率2.10と安定した数字を記録。シーズン直前に出場したワールド・ベースボール・クラシックによる疲労が懸念されたものの、今季も左のエースとしてチームを支える働きを見せている。

 今季の奪三振率は8.41と平良投手を凌ぐ数字であり、それでいて与四球率は1.33と3年連続の1点台を記録。奪三振が多く、四球を与える頻度は非常に少ないという理想的な傾向を示しており、K/BBは6.33と極めて高い水準に達している。WHIP0.93と1イニングごとに許す走者の平均は1人以下であり、投手としての能力の高さが各種の指標にも示されている。

 今季は自身初となる開幕投手の大役を任された渡邉勇太朗投手は、ここまで11試合に登板して73.1イニングを消化し、防御率3.07という好成績を記録。6月23日試合前時点で4勝3敗と多くの勝ち星には恵まれていないものの、WHIP1.08と走者を許す機会は少なく、昨季に続いて先発陣の一角として安定した投球を披露している。

 キャリア通算の奪三振率は5.39と控えめな水準だが、与四球率はキャリア平均で1.24と非常に優れており、打たせて取る投球を持ち味としていることがわかる。今季は与四球率が2.70と過去のシーズンに比べるとやや悪化している一方で、奪三振率は6.14とキャリア平均を大きく上回っており、投球スタイルに少なからず変化が見受けられる点も興味深い。

武内夏暉が完全復活の兆し。若手や新助っ人も存在感を発揮

 武内夏暉投手は2024年に新人王のタイトルを獲得する華々しいデビューを飾ったが、昨季は故障もあって防御率5.26と苦しんだ。しかし、今季は10試合で5勝2敗、防御率2.67と復調傾向を示しており、奪三振率も8.16とキャリアベストの数字を記録している。

 それに加えて、今季は与四球率も1.63と昨季の数字(2.70)から大きく改善され、生命線の一つである抜群の制球力を存分に発揮。K/BBも5.00と昨季の2.42から大幅に改善され、再び非常に優秀な水準へと戻っている。一昨年の新人王が完全復活への道のりを着実に歩んでいる点も、チームにとっては非常に明るい材料となる。

 新外国人のワイナンス投手は5月中旬から一軍に昇格し、ここまで5試合に先発登板して防御率2.12と優れた成績を記録。6月7日の中日戦と6月14日の巨人戦では2試合連続で無失点の好投を披露するなど交流戦期間中に活躍を見せ、ここまで奪三振率7.58、与四球率3.34といずれも一定の数字を記録。リーグ戦再開後も好投を続けられるかに注目だ。

 22歳の若獅子・菅井信也投手は5月までに7試合に先発して防御率3.05と一定の成績を残し、与えられた登板機会で着実に存在感を放っている。今季途中に支配下に昇格した佐藤爽投手が5月1日の千葉ロッテ戦で7回無失点と好投してプロ初登板初勝利を飾るなど、4試合の先発で防御率3.00と将来性を感じさせる投球を見せている点も楽しみな要素だ。

左右のバランスも良く、質・量ともに充実した先発陣がチームを復権に導くか

 高橋光成投手、平良投手、隅田投手、渡邉投手、武内投手はいずれも優秀な成績で安定して試合を作っている点は実に頼もしい。それに加えて、菅井投手やワイナンス投手が好投を見せている点も先発陣の層を厚くしており、隅田投手、武内投手、菅井投手と左の先発が3名存在する点も強みとなっている。

 全ての先発投手が与四球率3.00台以下と制球面から大崩れしないことに加えて、奪三振率が高い投手と打たせて取る投球が持ち味の投手がいずれも複数存在している点もポイントだ。さまざまなタイプの投手が揃ったバランスの良い先発陣が今後も高頻度で試合を作り続けることができれば、雌伏の時を経たライオンズの復権がいよいよ現実味を帯びてきそうだ。

文・望月遼太

記事提供:パ・リーグ インサイト

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