
◆パ・リーグ ソフトバンク1―2オリックス(21日・みずほペイペイドーム)
オリックス・佐藤一磨投手(24)は「金星」を拾うと、さらに上を見た。「この1勝に満足せず、もっと1軍で投げていけたら」。育成から支配下登録され、昨年6月9日の巨人戦(東京D)でプロ初登板初先発初勝利。菅野に投げ勝った男は、やはり持っていた。
「自分の中で『完璧に抑えられる』という考えはない」。この日の相手もまたエース格の有原。厳しい戦いになることを受け止め、誠実に投球した。「1点は仕方ないぐらいで」と初回2死満塁、3回2死満塁で開き直り、ともに牧原大を退けて脱出。「いろいろと間合いを変えたりした」と投球自体にも手を加え、プロ2勝目をつかんだ。
140キロ前後の球速以上に差し込まれる直球を、どう生かすか。女房役の若月は、同じ左腕のアルバースをイメージした。18年に9勝を挙げ、オリックスに3年間在籍した助っ人。5安打3四球と綱渡りではあったものの、5回無失点はバッテリーの共同作業の成果でもあった。
ウエスタンで10勝し、この日が今季2試合目の登板だった。じっと耐え、出番を待ったファーム生活。「頑張っておけよ!」と波留2軍監督の言葉と目力が支えになった。「ベース盤、ゾーンに強く投げる」。190センチの長身サウスポーにとって元同僚で188センチの山崎福(日本ハム)は手本。映像を集め、成長の助けにもした。
主軸の西川が出場選手登録を抹消される中、佐藤がつくった流れを全員で守り、苦手のソフトバンクには今季初の連勝。CSを争う4位・楽天とも4ゲーム差に広がった。「与えられたところで、全うする準備は常にするべき。しっかりアピールしていきたい」。父・大磨さんは神奈川県藤沢市ですし店「二代目 笑楽」を営み、佐藤の活躍とともに予約困難になった。慢心することなく「日本一になって終われればいい」と頼もしくなった成長株。勝利を引き寄せる力がある。(長田 亨)
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