パ・リーグの盗塁王争いは群雄割拠の時代へ

パ・リーグでは昨季、福岡ソフトバンク・周東佑京選手をはじめ、8選手が20盗塁以上をマークした。これだけ多くの選手が20盗塁をクリアしたのは、2018年に10選手が記録して以来7年ぶりだった。実績としては3年連続盗塁王の周東選手が頭ひとつ抜けているが、東北楽天・小深田大翔選手や千葉ロッテ・高部瑛斗選手もタイトル獲得経験がある。その他の選手もトップを狙える実力を持っており、まさに群雄割拠といえるだろう。
今回はこの8選手の盗塁企図、つまり「どんなタイミングで盗塁を仕掛けているか」に関するデータを紹介していく。なお、以降のデータはいずれも二塁への盗塁のみを対象とする。
序盤から動く周東、終盤の企図が多い東北楽天の2人

まずはイニングごとの二盗企図の割合を紹介する。リーグ全体の傾向としては試合序盤の企図が多く、イニングが進むにつれて少なくなっていく。選手個人のデータで特徴的だったのは上記の5人。タイトルホルダーである周東選手は全35盗塁のうち19盗塁を1~3回に記録するなど、序盤から積極的に動いていた。東北楽天の中島大輔選手も同様の傾向だが、チームメートの小深田選手や辰己涼介選手は対照的に終盤の企図が多かった。また、北海道日本ハム・五十幡亮汰選手は序盤と終盤の両方で割合が高くなっているが、これは代走の切り札として終盤の勝負どころで起用される試合もあったためと考えられる。
今季を見ても周東選手は12企図のうち7回以降の仕掛けはわずか2度。バッテリーは試合序盤から中盤にかけて特に警戒を強める必要がありそうだ。
劣勢の場面で勝負をかけるか、後続の一打を待つか

次に、点差状況別のデータを見てみよう。リーグ全体としては、リード時や同点時に比べてビハインド時の企図が少ない。劣勢の場面では失敗のリスクを重く見ていると考えられ、周東選手や埼玉西武・西川愛也選手はこの傾向に近い。一方、ビハインドでも自らの足でチャンスを広げようと動いていたのが辰己選手と高部選手だ。シーズン盗塁成功率10割を誇った辰己選手は、ビハインドでも9盗塁を決め、チームを鼓舞した。
埼玉西武の快足コンビは積極性が光る

最後は打席内投球数別のデータだ。特徴的だったのは西川選手と滝澤夏央選手の埼玉西武コンビで、初球の企図が4割前後を占めている。この2人は「1番・西川、2番・滝澤」または「9番・滝澤、1番・西川」の並びで出場した試合が多く、ともに積極走塁で相手バッテリーをかき回した。逆に慎重派だったのが小深田選手と高部選手。特に高部選手は4球目以降の企図が65%を占め、相手の隙をじっくりと見極めてから仕掛ける傾向にあった。小深田選手は今季も似たような傾向を示しており、6回中5回を3球目以降に企図している。

このように、同じ二盗であっても仕掛けるタイミングには選手によってさまざまな特徴がある。俊足を武器とする選手が塁に出た際には、ぜひ相手バッテリーとの駆け引きにも注目して楽しんでいただければ幸いだ。
また、今回取り上げた選手たちに割って入るように存在感を示しているのが、オリックスの渡部遼人選手だ。バッティングの成長もあって上位打線でのスタメン出場が増えた26歳は、今季ここまで周東選手に次ぐリーグ2位の9盗塁をマークしている。このニューカマーが昨季の盗塁王とともにランキングをけん引するのか、それとも歴戦のスピードスターたちが追い上げを見せるか、夏以降の展開にも注目したい。
※文章、表中の数字はすべて2026年5月24日終了時点
文・データスタジアム
