
◆日本生命セ・パ交流戦 2025 オリックス7―3巨人(13日・京セラドーム大阪)
オリックス・寺西成騎投手(22)が13日の巨人戦(京セラD)で5回を4安打1失点に抑え、プロ初勝利を挙げた。ドラフト2位右腕の待望の1勝に、日体大時代にコーチとして指導した元中日・辻孟彦氏(35)が祝福メッセージを寄せた。(取材・構成=南部 俊太)
まずは1勝目、記念になるので良かったと思います。初回は緊張が見えましたが、打線の援護もあり、寺西らしい落ち着いた投球でした。これを機に、どんどんいい投手になってもらいたいですね。
寺西が日体大に来てくれた時、すごくワクワクしました。身長186センチで手足が長いのに、自分の意図した通りに体を動かせる器用さも兼ね備えている。「パワーがつけば、必ずプロに行かせてあげられる」と、気持ちが高ぶりました。
高校3年時に右肩の手術を受けており、入学からの2年間は主にリハビリ生活。フォームの面では、投球時に少し肘が下がってしまう癖の修正に着手しました。試合で投げられなくても、歯をくいしばって課題と向き合えるのが彼のすごさ。重量トレーニングやジャンプ系のメニュー、ランニングなど、体づくりの部分も含め、高い意識で取り組んでくれました。
「けがをしている時に伸びるのがいい選手」というのが私の持論なのですが、彼の場合は例えば、短距離走のタイムが大幅に縮んだ。静かに練習するなかでも「プロ野球選手になるんだ」という意欲に満ちあふれ、技術面、体力面ともに大きく成長してくれました。
3年生で試合に投げるようになると、また驚かされました。野球に対しての感覚が抜群に敏感。キャッチボールの段階から調子が分かり、試合中でも「ここをこうしなければいけない」と修正できるんです。そんな大学生、なかなか見たことがない。だからこそ私は、気になる部分があっても、あえてあまり言わないようにしていました。こちらから伝えることで、自分で進んで物事を考えるという良さを消したくなかったので。実際、私が気になったことをすぐに修正する姿も見ましたし、そういった「答え合わせ」ができる数少ない選手でしたね。
野球以外の部分では大ざっぱな部分もある。後輩からイジられても笑顔で返したり、そのあたりのバランスもまた、彼の魅力なんですかね(笑)。落ちる球の精度や体力面など、まだまだ未完成な部分も多いし、もっともっとスケールの大きな投手になれる。自分の可能性を信じ、数年後は「寺西が投げるからこの試合は大丈夫」と思われるような、エースになってくれることを期待しています。(日体大硬式野球部投手コーチ・辻 孟彦)
◆辻 孟彦(つじ・たけひこ)1989年7月27日、京都市生まれ。35歳。京都外大西、日体大を経て、2011年ドラフト4位で中日入団。13年に1軍デビューしたが、14年限りで退団。現役引退後、15年に日体大の投手コーチに就任。プロ通算13登板で0勝0敗、防御率4・58。右投右打。お笑いタレント「ニッポンの社長」の辻皓平は実兄。
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