
◆パ・リーグ ソフトバンク1―3西武(14日・みずほPayPay)
手元に残る感触に笑みを抑えることはできなかった。「いったな」。初回2死。西武のドラフト2位、渡部聖弥外野手(22)が大津の初球の内角低め143キロ直球をすくい上げた打球はきれいな放物線を描き、左翼スタンド最前列に飛び込んだ。プロ27試合目、108打席目で飛び出した待望のプロ1号。「正直そろそろ打ちたいと思ってた。すごくいい感触で気持ちよかった」。時折白い歯を見せながら、かみしめるようにダイヤモンドを一周した。
プロの世界で活躍するにあたり、いくつか目標を立てて進んできた。「開幕1軍メンバー入り、開幕スタメン、新人王…」。そのひとつが、「大学の卒業式に出ないこと」だ。母校・大商大の卒業式はシーズン開幕3日前の3月25日。開幕1軍入りが決まった場合、重要な練習日になることは分かっていた。「初めから多分出ないって伝えてたんですよ。立場的にもうこっちに集中なんで。出ないように頑張るって」。学生生活を締めくくる一生に一度の行事。「(同級生から)『今日卒業式あったの知ってた?』って連絡が来て『知ってたよ』って返信したり(笑)。グループで写真が送られてきたりもしたんで、“いいね”押しときました」。プロ入りと同時に腹をくくり強い覚悟で進んできた。
ルーキーながら17試合連続で「3番・左翼」でスタメン出場し、クリーンアップの一翼を担う。5回2死一塁の第3打席では右前安打を放ち2点目をお膳立てすると、7回無死一、三塁の第4打席では遊ゴロに倒れるも三塁走者が生還。チームの全3得点全てに絡む活躍で打率は3割3分3厘まで上昇した。一時期右足首捻挫で離脱していたため、この日規定打席に到達し、堂々のリーグ2位にランクインした。「今の打席の数字で評価されるわけではない。ここからが大事」とどっしり構えるルーキーが、西武打線を上昇気流に乗せる。(大中 彩未)
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