ドジャース躍進の舞台裏。チームの成果とフロントの取り組みが、名門のブランドを高め続ける

2018.11.15(木) 11:00 パ・リーグ インサイト 藤原彬
1962年に開場したドジャースタジアム【撮影:藤原彬】

 「2018日米野球」のMLBオールスターチームに、最多の3選手を送り出すのが2年連続でワールドシリーズへ出場したドジャースだ。2013年には、翌年から始まる25年70億ドル(約7922億1000万円)以上の放映権契約をタイム・ワーナー・ケーブル社と結び話題になった。長期的な後ろ盾を得たチームは、14年から昨年まで30球団最高の選手年俸総額2億5000万ドル(約282億8000万円)超を記録している(Baseball Prospectus参照)。
 だが、今年のドジャースは戦力均衡税対策として選手の年俸総額を抑え、資金力だけが強さの理由でないのは見逃せない。球団のビジネスサイドも経営規模が拡大し、前オーナー時代に下降線を辿っていた球団も、飛躍的な進化、復活を成し遂げ、チームの成績や収益額に表れている。
 メジャーリーグ有数の名門が大切にしている経営哲学とは。フロントオフィスで働くデビッド・シーゲル氏と佐藤弥生氏から、現場の声を聞く機会を得た。

目まぐるしい変化の流れでもファンの気持ちは常に忘れない

 ドジャースに勤めて20年のシーゲル氏は社会現象となった“野茂マニア”を経験している。「チケット窓口に、今まで見たことのない行列ができたのをよく覚えています。本当に凄い現象でした。韓国人投手のパク・チャンホが活躍したときにも共通しているのは、いい席がよく売れたことです。とても興味深いパター...

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