新戦力が活躍も、先発陣が苦戦。チームの柱となる若鷹は現れるか【福岡ソフトバンクホークス2023:投手編】

2023.12.25(月) 17:00 パ・リーグ インサイト
有原航平投手(左)、松本裕樹投手(中)、和田毅投手(右)【写真:球団提供】

 3年ぶりのリーグ優勝奪還を目指すも、リーグ3位と悔しい結果に終わった福岡ソフトバンク。本記事では投手編、野手編に分け、福岡ソフトバンクの2023シーズンを振り返っていく。

四球数減少には成功も、5年ぶりの規定投球回到達者「0」

 今季は先発投手陣が安定してイニングを稼ぐことができず、2018年以来5年ぶりに規定投球回到達者が不在となった。チーム防御率3.27はリーグ4位で、こちらも4位以下となるのは2018年以来。近年強みとしていた投手力が、今季は鳴りを潜めた。
 開幕前に課題として掲げていた与四球数は451個(リーグ5位)と、リーグワーストだった昨季の474個から少し改善は見られたものの、奪三振数が昨季の1176個(リーグ1位)から1068個(リーグ3位)に減少。四球禍からの脱却は道半ばといえそうだ。

先発陣が苦しむなか、NPB復帰の有原航平が救世主に

 全体的に今季は先発陣が低調だったが、光ったのは有原航平投手の活躍だ。
 3年ぶりにNPBに復帰した有原投手は、6月6日の横浜DeNA戦が復帰後初登板。二軍での投球内容が安定していなかっただけに、期待する反面不安も大きかったファンは多いのではないだろうか。それでも有原投手はその日、6.2回1失点(自責点0)と結果で応えると、シーズン中盤以降は抜群の安定感を見せ、終わってみればチーム最多の10勝(5敗)。チームは球団初となる2桁勝利・規定投球回到達者なしという危機に瀕していただけに、その活躍ぶりはまさに救世主だった。

自身7年ぶりにシーズン100投球回到達。進化を続ける42歳

 和田毅投手はNPB通算150勝を達成した昨季に引き続き、今季も若手さながらの投球を見せつけた。8月31日のオリックス戦では自身2年ぶりとなる7イニングを投げるなど、7年ぶりのシーズン100投球回に到達。4月5日のオリックス戦で球団史上最年長勝利を達成したが、今季は8勝を挙げ自身でその記録を塗り替え続けた。いまだ進化を続ける42歳に、来季も期待せずにはいられない。

史上88人目・育成出身2人目 希望の光見えたノーヒットノーラン

 石川柊太投手が8月18日の埼玉西武戦で、史上88人目・育成出身2人目となるノーヒットノーランを達成。今季は3試合続けて5回を投げ切れないときがあるなど、歯がゆい投球が続いたが、奪三振率は8.52と昨季(7.00)より良化している。昨年同じくノーヒットノーランを達成した東浜巨投手とともに、安定感を取り戻したい。

モイネロが離脱も、オスナにつなぐ津森宥紀と松本裕樹がキャリアハイ

 苦しんだ先発陣に対して力強さを見せたのが救援陣だ。勝利の方程式として盤石のモイネロ投手が7月に離脱。それでも、千葉ロッテから移籍したオスナ投手が、49試合で防御率0.92、WHIPは驚異の0.69という数字を残すと、津森宥紀投手が56試合で22ホールド、松本裕樹投手が53試合で25ホールドといずれもキャリアハイを更新した。シーズン後半からは藤井皓哉投手も加わり、今季も中継ぎの頼もしさは健在だった。

田浦文丸が自己最多の45試合に登板 甲斐野央は復活の兆し

 救援陣はほかにも、田浦文丸投手が自己最多を大幅に更新する45試合に登板したことに加えて、ルーキーの大津亮介投手も46試合で防御率2.43という成績。さらには甲斐野央投手も、ルーキーイヤーの2019年以来4年ぶりに40試合以上に登板するなど復活の兆しを見せた。勝ちパターン以外にもこれといった穴がないのは、さすがの...

続きを読む

関連選手記事/PLAYER

関連チーム記事/TEAM