長いプロ野球史において、三振のみで試合を終えた投手は1人もいない。必ず打球を飛ばされ、ときにそれは安打となり、得点を奪われるピンチを招く。連打、長打でピンチは拡大し、なかなかアウトが取れないなんてことも……。
そんなチームの危機を救うのが、野手の「好返球」である。一瞬を争う走者との攻防は、球場が大きく沸き立つ瞬間であり、野手の腕の見せどころならぬ「肩」の見せどころだ。
今回はそんな好返球と同じく、「強く押す」でおなじみの火災報知機などで人々のピンチを救う「ホーチキ株式会社」と「パーソル パ・リーグTV」公式YouTubeチャンネルがコラボレーション。今季ここまでの「好返球」シーンをまとめた動画が製作された。今回は、そのなかでも「強く推(押)」されたシーンをピックアップし、そのシーンがより楽しめるような見どころを紹介したい。
登録は内野手も... 出場機会を求めつかんだ外野起用に応える一投
1つ目の「強く推す」シーンは、5月2日の東北楽天対千葉ロッテ戦でのこと。平沢大河選手の好返球である。平沢選手の登録は内野手だが、今季はすべて右翼手で出場。1回裏、ライト前の打球を受け3塁へ鋭い送球を見せると、三塁手の安田尚憲選手の懸命なタッチもあり、1塁から3塁を狙った浅村栄斗選手をアウトにした。期待の遊撃手としてドラフト1位で入団も、思うような結果を出せずにいた平沢選手だが、活躍の場を求め奮闘している姿は、推さずにはいられない。
劇的な結末 プロ9年目の職人が見せた「勝負強い」守備
続いては、4月19日のオリックス対東北楽天戦。オリックスが1点リードも9回表2死1、2塁、抑えの平野佳寿投手がライト前に打球を飛ばされる。一打同点かと思われたが、代走から守備に就いていた小田裕也選手が俊敏な動きで本塁へ送球。俊足の西川遥輝選手の生還を阻止し、勝利をもぎ取った。レギュラーでこそないものの、ここぞの場面でチームを支える中堅のプレーは、2連覇中のチームの強さを象徴するかのようだ。
今季ここまで外野手補殺数リーグトップ この男の強肩はいまだ健在
7月6日の福岡ソフトバンク対北海道日本ハム、場面は3回表無死1、2塁。先発・大関友久投手が上川畑大悟選手に8球を投じるも四球を与え、チャンスを拡大されたときだった。続く石井一成選手の飛球を右翼手の柳田悠岐選手がつかむと、ゆったりとした動きから3塁へレーザービーム。タッチアップを狙った2塁走者の江越大賀選手をアウトにし、大関投手は後続を抑え無失点で切り抜けた。さらにこの日、柳田選手は打っては3安打1本塁打3打点の活躍。ここまで外野手としてリーグトップの7補殺を記録しており、その規格外ぶりは衰えることを知らない。
振り返るととても大きなプレー 相手打線の勢いを止める好返球
埼玉西武で取り上げるのは、7月12日の福岡ソフトバンクとの一戦。先発の今井達也投手は1回裏に1失点し、なおも2死1、2塁のピンチを迎えていた。柳町達選手を追い込むもレフト前に弾き返され、ピンチ継続かと思われたが、左翼手の鈴木将平選手が本塁へ正確な送球。近藤健介選手をタッチアウトにし、最少失点で留めた。チームはこの日、4対2で逆転勝利。大量失点の可能性も見えていたピンチを救う好返球が、勝利を呼び込んだと言っても過言ではない。
明暗分けた最終回の攻防 一瞬のプレーでチャンスはピンチに
7月13日、6連敗中の北海道日本ハムと7連勝中の東北楽天という対称的なチーム同士のカード3戦目。東北楽天は1点リードの9回裏に守護神の松井裕樹投手を投入も、北海道日本ハムは無死1、2塁のチャンスをつくる。続く清宮幸太郎選手がライトへ大きな飛球を放つが、スタンドへはもう一伸び足りず。1塁走者の五十幡亮汰選手は果敢にタッチアップを狙うも、田中和基選手と小深田大翔選手のカットプレーに隙が無くタッチアウトとなり、一瞬で2死3塁にチャンスが縮小してしまった。そのまま試合終了となり、東北楽天が8連勝。まるでチーム状況を反映したかのような最終回の攻防だった。
すべてがハイレベル 次世代のスターが見せた異次元の送球
そのプレーが起きたのは、7月1日の北海道日本ハム対オリックスの一戦。2回表、定位置よりも深いライトへの飛球を見て、2塁走者の森友哉選手がタッチアップを図る。しかし、右翼手の万波中正選手がノーバウンドで3塁へストライク送球。誰もが驚愕のレーザービームで、タッチアウトにしてみせた。肩の強さだけでなく、打球への入り方、取ってからの速さ、コントロール、すべてがハイレベルのプレーで、球場を大い...
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