生き馬の目を抜くプロの世界にあって、12年のキャリアでリーグを代表するキャッチャーとしての立場を築いてきた。主将として、また扇の要として、球場の内外で求められる役割が多岐に及ぶことは容易に推察できる。試合中に唯一、グラウンド全体を見渡す司令塔には「冷静」のパブリックイメージも存在するが、生来の気質は別のものだと嶋選手は語った。ここでは、その捕手論とパーソナリティーに焦点を当てる。
キャッチャーならではの醍醐味と強い心身
「9回2アウトから最後のバッターを抑えて、マウンドに駆け寄るとき。その喜びはキャッチャーにしかわからないと思います。逆に、負けたときの悔しさも人一倍感じるポジションなのかもしれません。」
嶋選手は、自らの務めるキャッチャーというポジションの醍醐味をそう話す。
「キャッチャーに必要なことですか? 一番は身体が強いことだと思います。プロテクターをつけ、カバーのために走り回るのは結構大変なので。それに加えて、チームが負けたときには精神的に追い込まれることもあります。身体と心の両方が強くないと、いいキャッチャーにはなれないんじゃない...