2016年3月14日。開幕戦を3月25日に控える、埼玉西武ライオンズの本拠地・西武プリンスドーム。オープン戦が束の間のお休みのこの日、人影まばらな球場の一室に、シニア世代の方が次々と入っていく光景があった。その正体は、同日開始された「埼玉西武ライオンズと早稲田大学の共同研究」のシニアモニター(被験者)の方々への初回説明会である。研究のテーマは、「野球観戦が高齢者の健康に与える効果」について―。
【球場での応援と日常生活、2つの効果?】
この研究の仮説は2つある。
1つは、球場に足を運んだり、球場で応援したりする「活動」が、身体的・精神的な健康に良い効果をもたらすのではないか?という仮説。確かに、野球観戦ではグッズを使っての応援や、ホームランや得点シーンでの熱狂、ラッキーセブンでの応援歌など、身体を使うシーンが数多くある。実際に西武プリンスドームに足を運んでも、元気に応援フラッグを振り、「吠えろライオンズ」を元気に歌うシニア世代の方をよく見かける。またご存知の方も多いと思うが、埼玉県所沢市の丘陵地帯にある西武プリンスドームは、坂や階段が比較的多く、観戦時の活動量が大きい。外野の入場ゲートから内野席を目指す外周の通路は、なだらかな坂が続く名物箇所だ。
2つ目は、「野球観戦の趣味を持つこと」・「ひいきのチームを持つこと」が日常生活にもたらす...