炭谷、浅村、菊池が抜ける来季は「僕にとっては新たな挑戦」
埼玉西武の秋山翔吾が3日、2億3490万円プラス出来高払いで来季の契約を更改した(金額は推定)。2016年に3年契約を結んでおり、来季が最終年となる。
今季は4年連続で全試合フルイニング出場を果たし、195安打で2年連続3度目の最多安打のタイトルを獲得。リーグ2位の打率323、本塁打24、打点82と、申し分のないハイレベルな数字を残した。球団から「フルイニングに出ながら数字を残してくれた。高く評価している」との賛辞を受け、「優勝という形で応えられて良かった」と話した。さらに、ゴールデングラブ賞、ベストナインに選出され、「選んでいただいた方がいるからこそ獲得できた賞。その人たちに応えられる仕事をしていくために、レベルを上げていきたい」と、一層の進化を誓った。
秋には侍ジャパンのメンバーとして日米野球に出場し、メジャーリーガーとも対戦。「投手の球が単純に強い。テイクバックの小ささなど、日本の投手ではなかなか体験できない(時速)145キロ、150キロだったので、すごくいい勉強になった。今後、クイックで投げてくる投手や強い球を投げる投手、外国人投手など、シーズン中にも生きてくることも出てくるのかなと思います」と話し、確実に引き出しを増やしたようだ。
また、来季のテーマとして、色紙に『挑戦』と記した。その真意を、次のように話す。
「同じチームで、同じメンバーでやるのだとしたら、“連覇”とか“日本一”とか書くと思うのですが、(炭谷銀仁朗、浅村栄斗、菊池雄星という)あれだけ中心にいた選手が抜けていくというのは、僕にとっては新たな挑戦のシーズンになると思う。若手にチャンスというよりも、みんなにチャンスだと思う。今年レギュラーで出ていた選手が、今年のようにいい成績が出せるとも限らない。そういう意味で、今まで通りやればいいというのでは(優勝は)できない。僕も、数字をまだ伸ばすとか、チームのいろいろな選手と対話していくことをさらにやっていかないといけないと思うので、『挑戦』かなと。正直、違うチームになっている。そういう意味では、また上の、強いチームとぶつかって、どれぐらいやれるかというのを試されるシーズンかなと思います」
迷いを感じながらも「195安打」を放った今季
今季チームの根幹とも言える「投・打・頭脳」の3本柱が抜けた影響は計り知れないが、「いなくなっても、チームが勝たなければいけないということは変わらない。どのぐらいのダメージになるか、自分たちがどれぐらい戦えるかは、来年になってみないとわからないですが、『抜けたからしょうがない』と思う奴は1人もいない。それを覆せるような取り組みを自分たちがしっかりとして、今いるメンバーで優勝を目指してやっていきたい」と、チームリーダーは力強く言い切る。
「もう一度200本を目指したい」と話す中、今季は195本と惜しくもあと一歩、目指す数字に届かなかった。その原因を「7、8月、どうやっても調子を戻すことができなかった」と振り返った。その時期には「今季は立ち返る場所がなくて、正直不安」と、珍しく“迷い”を吐露したこともある。
「キャンプ中から4月の頭にかけて、身体に痛い箇所があって、練習量が確保できなかった。チームとしてのメニューや、やるべきことはやらないと、1軍のキャンプにいるべきではない。キャンプ、オープン戦に帯同するにあたり、実戦感覚を戻すための準備を最優先にやっていたので、本来であれば、その時期に時間を見つけて量を打っていたところを、体のケアの方に時間を割かなければいけない状況だった。それが、夏場のしんどい時期に、後から来たという感じ。4月から5月は、まだ引き出しを考えながらやれていたが、7月から8月にかけて、後々考えると、練習量が足りなかったことが影響した」
そう分析した日本記録保持者。ただ、迷い中でも195本の数字は「さすが」の一言だ。
『挑戦』を掲げ、意気揚々と挑む秋山の2019シーズンに注目だ。
(上岡真里江 / Marie Kamioka)
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