史上初「5球団競合外れ1位指名」は伊達じゃない。千葉ロッテ・佐々木千隼という大器

パ・リーグ インサイト

2017.10.1(日) 00:00

9月13日の北海道日本ハム戦、9回を投げ120球、被安打8、奪三振5、失点1の好投で、プロ初完投勝利を挙げたルーキー・佐々木投手。9月21日の埼玉西武戦でも7回1失点で2連勝を決め、29日のオリックス戦では中継ぎとして3回を完璧に抑えた。2016年のドラフトで、史上初「5球団競合の外れ1位」指名を受けたエース候補が、シーズン最終盤から改めて大器の片鱗を見せ付けている。

佐々木投手は、1994年生まれの23歳。都立日野高校を卒業後、桜美林大学でエースとして君臨し、輝かしい成績を収めてきた。昨年の首都大学野球リーグで菅野投手(現・巨人)らが持つ53イニングス連続無失点と、年間7完封のリーグ記録に並ぶ。さらにこの年、「投」ではもちろん「打」でも躍動して、母校を初の明治神宮野球大会出場、準優勝に導いた。

そして昨年のドラフト会議で、5球団競合の末、千葉ロッテへ入団。オープン戦では4試合に登板して防御率0.59と結果を出し、開幕ローテーションの座を勝ち取ると、4月6日の北海道日本ハム戦でプロ初登板、初勝利を飾る。

しかし以降は白星に恵まれず、5月25日に2勝目を挙げてから、佐々木投手の長く苦しい戦いが始まる。6月11日の東京ヤクルト戦では初回7失点と崩れ、7回を投げ切るものの5四球8失点。それでもローテーションを守り続けたが、7月5日の楽天戦で今季7敗目を喫し、ついに一軍登録を抹消される。ファーム降格後も、焦りから広背筋を痛めるという悪循環に巻き込まれるが、身体を動かせない間も映像で自身の投球フォームを見つめ直し、今シーズン中の一軍復帰を目指した。

そして、9月13日の北海道日本ハム戦でようやく一軍復帰を果たし、70日ぶりに先発マウンドに立つ。8回裏には2者連続で四球を与え、1死満塁のピンチを招く場面もあったが、続く松本選手を三振、太田選手を投ゴロで打ち取り、初の完投勝利。あと一歩で完封というこの快投に対しては指揮官も「コントロールがよかった。ゴロアウトも多く、四球を出して自滅するということもなかったし、次につながる投球だった」と評価した。

復帰後2試合目となった9月21日の埼玉西武戦でも、7回を投げて被安打5、奪三振5、与四球2、失点1という好投で連勝を決める。初回に先制弾を浴び、4回以降は毎回走者を出したが、「強気で、逃げずに攻めていきたいなと思っていた」との言葉通り、ことごとく粘って決定機を凌いだ。また、先発が予定されていた28日の試合が雨天中止となったため、2番手として登板した29日のオリックス戦では、7回から3イニングスを投げて被安打1、奪三振3、与四球2、無失点。チームは完封負けを喫したものの、プロ2年目の成田投手とフレッシュなリレーをつなぎ、ファンを大いに沸かせた。

完投勝利後のお立ち台では、「最後まで投げられるのはピッチャーとして幸せ」と語った佐々木投手。今季の千葉ロッテは、プロ2年目の成田投手、ルーキーの有吉投手、酒居投手など、先発・中継ぎともに若い投手が頼もしい姿を見せている。ドラフト1位の佐々木投手にはその筆頭として、いずれ押しも押されもせぬエースに成長してほしいところだ。

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